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中国~欧州間の物流拠点として発展目指す-カザフスタン鉄道セミナー(1)-

(カザフスタン、日本)

欧州ロシアCIS課

2016年06月10日

 ユーラシア大陸の中ほどに位置するカザフスタンを経由して、中国と欧州を結ぶトランジット鉄道輸送が活発化している。ジェトロは5月12日、カザフスタンの鉄道事情に関するセミナーを東京で開催した。物流企業を中心に約200人が参加した。概要を2回に分けて報告する。前編はカザフスタンの経済と鉄道物流について。

<日本は主に天然資源を輸入し乗用車を輸出>

 カザフスタンの概要と日本との経済関係について、ジェトロ海外調査部の梅津哲也主幹が以下のとおり説明した。

 

 カザフスタンは日本の7倍の広大な国土面積を有し、100万人都市はアルマトイのみ。1997年に首都がアルマトイから、現在のアスタナ市(85万人)に移転した。2015年のGDP1,732億ドルで日本の4%、ロシアの13%程度だが、1人当たりGDP9,796ドルで日本の4分の1に相当し、ロシアを上回っている。

 

 カザフスタンは大きな権力を持つ大統領の下で政情が安定しており、中央アジア域内では経済制度の改革が比較的進んでいる。経済が豊富な天然資源や地下資源に依存しているため、石油価格などの影響を受けやすく、為替レートも資源価格に左右されやすい。

 

 日本のカザフスタンからの主要輸入品は天然資源で、2013年から始まった原油の輸入額が年々増加している。日本からの輸出は乗用車が多いが、2015年はカザフスタンの経済減速の影響を受け急減した。カザフスタンには販売拠点を置くメーカーや商社、製造業、鉱物資源採掘などさまざまな分野で約20社の日系企業が活動している。201410月には日・カザフスタン投資協定が締結された(201510月発効)。201510月に安倍晋三首相がカザフスタンを訪問した際に行われたビジネスフォーラムでは、鉄道や金融などの分野で覚書が交わされた。資源依存からの脱却を目指すカザフスタンの生産性向上や効率化実現に対して、日本企業の技術や機械設備が貢献することが期待されている。

 

<周辺諸国結ぶ鉄道などインフラを整備>

 ユーラシア大陸をまたぐ国際輸送におけるカザフスタンの戦略と進捗状況、日本への期待について、カザフスタン国有鉄道(KTZ)輸送ロジスティクス発展センター副所長のアブドゥラシード・サケノフ氏が以下のとおり講演した。

 

 国連の推計によると、中国とユーラシア地域との貿易額(注)は、2020年には2014年の1.5倍の12,000億ドルに、中国~欧州間の貨物量は11,700万トンから17,000万トンに増加する見通し。貿易増大が続けば、陸上の国際輸送ルートも発展する可能性が高まる。

 

 隣国の中国との間には計5本の鉄道と道路を開設し、年間4,000万トン以上の貨物輸送ができるインフラを整備した。また、国内のジェスカズガン~ベイネウ間の鉄道(1,039キロ)が2014年に運行を開始したことで、アゼルバイジャンとトルコへの輸送時間が短縮されたほか、201512月にはウゼニ(カザフスタン)~ベレケト(トルクメニスタン)~ゴルガン(イラン)を結ぶ鉄道(928キロ)の運行を開始した。このルートで運ばれるロシア・カザフスタン・トルクメニスタン・ペルシャ湾岸諸国・パキスタン・アフガニスタン間の貨物量は2020年に1,500万トン(トランジット580万トン、カザフスタンの輸出730万トン、輸入190万トン)を超えると予想される。

 

 このほか、カザフスタン西部のカスピ海域の積み替え能力向上のため、アクタウ港の拡張、クルイク港のフェリー施設建設を計画しており、カスピ海に面した港湾インフラの処理能力は現在の1,650万トンから2020年には2,500万トンに、フェリーによる輸送量は200万トンから610万トンに増大する見込みだ。

 

 カザフスタン東部の中国に隣接するホルゴスに、輸送のハブ拠点として特別経済区(SEZ)「ホルゴス・東の窓口」を設置している。ここにはカザフスタンのアルティンコルと中国西部を結ぶ鉄道と道路がある。SEZ内のドライポートでは、税関手続きを含む輸送サービスをワンストップで行う予定で、2020年には年間400万トン以上の荷扱い量を見込んでいる。

 

<日本と協力し輸送ルート開設を期待>

 カザフスタン経由で、国際横断輸送コンテナ列車が中国~欧州間に定期的に運行されている。2015年の貨物輸送量は2011年に比べ約40倍の47,400TEU20フィートコンテナ換算)。欧州から中国への復路便の積載率は2011年の12%から2015年には46%に上昇した。2020年のコンテナ輸送量は80TEUが見込まれている。このほか、20157月にカスピ海を横断して中国~アゼルバイジャン間を結ぶ初のコンテナ輸送が行われ、4,726キロを6日間で走破した。201511月には中国~カザフスタン~トルコを結ぶ2回目のコンテナ輸送が行われた。

 

 さらに国内と周辺諸国の貨物を集約するため、アスタナ、シムケントなどの中心都市にターミナルを建設中だ。中国の連雲港(江蘇省)には中国と共同で物流ターミナルを整備し、2015年に運用を開始した。2015年の貨物取扱量は140万トン、167,000TEUで、2016年内に20TEU2020年には55TEUに増加させる計画だ。連雲港のターミナル開設で黄海へのルートができたことにより、現在の課題は韓国や日本との輸送ルートの確立だ。博多や北九州など日本の中規模港湾や南シナ海、日本海で活躍する日本の中規模の船舶会社と協力し、日本のコンテナ貨物を最終仕向け地まで届けたい。

 

(注)ここでは、EU、ロシア、トルコ、イラン、カザフスタンと中国の貿易額の合計。

 

(芝元英一)

(カザフスタン、日本)

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