政府が新たな自転車利用振興計画を発表

(フランス)

パリ発

2023年05月18日

フランス政府は55日、2023年から2027年までの自転車利用振興計画を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。国の予算から20億ユーロ、地方自治体からの支出を含めて総額約60億ユーロで、脱炭素化に向けて自動車の代替として自転車の利用を促進するとともに、自転車産業のエコシステム強化を目指す。

同振興策は、(1)自転車専用レーンの拡充、(2)自転車購入の支援補助金の拡充、(3)自転車産業の育成を柱とする。

2022年末時点で57,000キロの自動車専用レーンに、毎年25,000万ユーロの予算、5年間で125,000万ユーロを充て、2027年までに8万キロに増設し、2030年までには10万キロに増設する。

自転車の購入支援としては、20221231日までの補助金制度の強化(2022年8月19日記事参照)を2027年までに延長する。障害者や世帯構成員1人当たりの年間課税所得14,089ユーロ以下の低所得世帯を対象に、電動アシスト自転車に最大400ユーロ(購入費の40%)、運搬用自転車(カーゴバイク)、自転車用電動トレーラーなどには、世帯収入に応じて上限2,000ユーロを補助(購入費の40%)する。普通自転車の購入には、障害者や世帯構成員1人当たりの年間課税所得が6,358ユーロ以下の低所得世帯を対象に、150ユーロ(購入費の40%)を補助する。2024年の予算法で業者が取り扱う中古品も補助対象とする。

さらに、スクラップインセンティブとして、2006年以前に製造されたガソリン車、または2011年以前に製造されたディーゼル車を廃車にして、新品あるいは中古の電動アシスト自転車などを購入する場合、障害者や世帯構成員1人当たりの年間課税所得が22,983ユーロ以下の低所得世帯を対象に、世帯収入に応じて電動アシスト自転車を購入した同一世帯の各人に最大3,000ユーロ(購入費の40%)を補助する。

自転車産業の育成のため、国内の自転車部品、製品の生産回帰奨励とイノベーション支援を目的として、2023年中にプロジェクトを公募する。2022年に854,000台の自転車が国内で生産されたが、2027年に140万台超、2030年には200万台まで増やすことを目標とする。

自転車業界団体の「スポーツ・自転車連合」によると、2022年の部品、アクセサリーを含めた自転車市場の累計売上高は、前年比5.2%増の36億ユーロとなり、過去4年間で52%増加した。新型コロナウイルス対策として、公共交通機関の代替手段に自転車を選択する消費者が増えたことや、電動自転車の販売数の増加が市場を後押しした。

(奥山直子)

(フランス)

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