米環境保護庁、エタノール混合E15ガソリンの夏季販売を前年に続き解禁へ

(米国)

ニューヨーク発

2023年05月01日

米国環境保護庁(EPA)は4月28日、エタノールを15%混合したガソリン(E15)の夏季販売を許可すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

トウモロコシなどに由来するエタノール燃料を混合したE15ガソリンは通常のガソリンに比べて、ニューヨーク地域では足元で20セント程度安価となっているが、高温度下の使用ではスモッグを発生させる危険性があることから、夏季の使用はこれまで基本的に禁止されていた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけにガソリン価格が高騰したことから、安全面に十分配慮した上で、2022年夏は期間限定で販売を解禁していた(2022年4月13日記事参照)。2023年はOPECプラスが4月3日に原油の追加減産を発表し(2023年4月5日記事参照)、足元では落ち着いているガソリン価格が上昇に転じる可能性もあることなどから、前年の夏に続いて販売解禁に踏み切ったかたちだ。E15は国内2,300カ所のガソリンスタンドで販売されており、前年に続いて夏に購入可能になる見込み。EPAはロシアによるウクライナ侵攻による異常な燃料供給状況がもはや存在しないと判断できるまで、この解禁措置を延長し続ける予定だとしている。

4月28日時点の国内の平均ガソリン価格は1ガロン3.6ドルと、1年前の4.1ドルから低下しているが、1カ月前の3.4ドルからはやや上昇しており、ピークからは下がっているとはいえ、まだまだ高止まりしているのが現状だ。再生可能燃料協会によると、E15ガソリンは1回の給油につき、通常のガソリンよりも平均で3~5ドル節約できるとしている。米国のGDP成長率が徐々に鈍化し、景気後退がささやかれる中で(2023年4月28日記事参照)、車をメインの移動手段とする米国人にとっては、今回のE15解禁延長措置は家計負担の軽減、ひいては消費者心理の改善につながる効果がありそうだ。

(宮野慶太)

(米国)

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