4月の新築住宅価格が62都市で上昇も住宅在庫面積は増加

(中国)

中国北アジア課

2023年05月24日

国家統計局は5月17日、2023年4月の中国主要70都市の住宅販売価格指数を発表した。同月の新築住宅(低・中所得者に向けた保障性住宅を含まず)販売価格指数は、前月と比べ70都市のうち62都市が上昇、1都市が横ばい、7都市が下落した(注)。前月比で上昇した都市数は、2023年1月が36、2月が55、3月が64となっており、4月は前月より2都市減少した。しかし、同都市数は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け上海市で封鎖管理が行われた2022年4月に18、5月に25、感染が全国で再拡大した12月に15だったことなどに鑑みると、2023年に入っての状況改善がうかがえる。中国政府が2022年に引き続き、2023年も不動産市場下支えの政策を打ち出してきたことなどが背景にある(2023年1月23日記事参照)。なお。主要70都市の新築住宅販売価格指数を単純平均し、前月からの変化率をみてみると、2023年2月以降はプラスを維持しており、4月は0.3となった(添付資料図参照)。

国家統計局が5月16日に発表した1~4月の全国の住宅販売額と住宅販売面積は、それぞれ前年同期比8.8%増、0.4%減となった。2022年の住宅販売額と住宅販売面積がそれぞれ前年比26.7%減、24.3%減だったのと比べると、改善した。ただし、1~4月の不動産開発投資は前年同期比6.2%減で(2022年は前年比10.0%減)、住宅在庫面積は15.7%増加した。住宅市況は改善をしているものの、資金が開発に十分に投じられる状況にはなく、また依然として一定の在庫を抱えていることがうかがえる。

2023年3月に開催された第14期全国人民代表大会第1回会議で発表された「政府活動報告」では(2023年3月6日記事参照)、住宅保障体系の整備を強化し、マイホームの購入または買い替えを支援し、新市民や若年層が抱える住宅難をしっかり解消することに取り組むとした。また、大手不動産企業の経営危機に効果的に対処し、負債比率を改善するとした。国民の消費マインドが完全には回復していないとの指摘もある中、今後の住宅市況の動向を踏まえて、政府がさらなる政策を打ち出してくるか注目される。

(注)中古住宅販売価格指数は、前月と比べ70都市のうち36都市が上昇、34都市が下落となった。新築住宅販売価格指数と比べて低調で、下落した都市数が全体の約半分を占めた。

(宗金建志)

(中国)

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