デリー首都圏におけるディーゼル発電機使用規制の強化開始

(インド)

ニューデリー発

2023年05月19日

インドのデリー首都圏・周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は5月15日、製造業企業によるディーゼル発電機の使用規制強化を開始した。デリー首都圏のうち天然ガスの供給がある地域において、製造業企業がディーゼル発電機(容量800キロワット以下)を使用するには、ディーゼル・天然ガス併用可能タイプへの改造が必須要件となる。この規制強化は2023年2月に発表され(2023年2月16日記事参照)、適用開始日が延期されることなく施行された。

従来のCAQMによる大気汚染対策は、デリーにおける空気質指数(AQI)の水準を踏まえた段階別規制が主だった(2023年2月13日付地域・分析レポート参照)が、今回の規制はAQIの水準と関係なく恒常的に適用される点が特徴的だ。ただし、天然ガスの供給がない地域や、ディーゼル発電機(容量800キロワット超)の使用に関しては、従来どおりAQIの水準に基づいた段階別規制が適用となる。

CAQMのアービンド・ノーティヤル次官補は、ジェトロのヒアリング(3月28日、5月15日)に対し、今回の規制強化に関して次のとおり説明している。

  • 天然ガスの供給がある地域かどうかの判断基準は、当該地域に天然ガスの基幹パイプラインが通っているかどうか。当該基幹パイプラインから個社への配管がなされているかどうかは、判断基準とならない。
  • 天然ガスの供給がある地域に立地しながらも、自社にガス配管がない製造業企業の場合、ガス会社に対してガス配管を要請する以外に、ガスシリンダーやスキッドによる対応とするのも選択肢の1つ。
  • 製造業企業が、自社所有のディーゼル発電機をディーゼル・天然ガス併用可能タイプに改造せず、単に使用しないことにする場合、当該発電機の所有自体が違法になるわけではない。ただし、同発電機を封印するなど、使用できない状態を担保することが必要。

(広木拓)

(インド)

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