ASEAN、域内決済連結性の向上と自国通貨取引を推進へ

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

シンガポール発

2023年05月15日

第42回ASEAN首脳会議(ASEANサミット)が5月10~11日、インドネシア・ラブアンバジョで開催され、ASEAN域内決済の連結性の向上と現地通貨取引を促進するとの宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)が10日に採択された(2023年5月15日記事参照)。

宣言では、「各国の状況を考慮しながら、シームレスで安全な越境決済を促進するために、技術革新がもたらす新たな機会を活用し、域内の決済連結を促進することへのコミット」、また「域内の越境取引での現地通貨使用を奨励し、ASEAN現地通貨取引枠組みの開発を検討するタスクフォース設立を支持」などとしている。

2020年11月に採択された「ASEAN包括的復興枠組み(ACRF)とその実施計画」では、「広範な戦略3:ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性の最大化」で、現地通貨利用の促進を求め、「広範な戦略4:包摂的なデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速」では、デジタル金融サービスや地域の決済連結を通じた金融包摂の促進を求めている(注1)。今回の宣言では、これらの実現に言及するとともに、より速く、より安く、より安全、より透明性が高い、より包摂的な越境決済を支援するために、地域の連携と決済システムを強化する環境を提供することの重要性を強調した。

また、今回の宣言では、ASEAN加盟10カ国のうち5カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)の中央銀行(注2)が2022年11月に締結した域内での決済連結性(RPC)協力に関する覚書(2022年11月22日記事参照)、さらには、一部ASEAN加盟国間で2国間LCSF(現地通貨決済協力枠組み)の実施など、地域の決済連結と現地通貨使用促進の協力の進展を歓迎するとともに、他のASEAN加盟国がこのイニシアティブへの加入に関心を持っていることを留意した。

(注1)ACRFは、(1)保健システムの強化、(2)人間の安全保障の強化、(3)ASEAN域内市場とより広範な経済統合の潜在性の最大化、(4)包摂的なDXの加速、(5)より持続可能で強靭(きょうじん)な未来に向けた前進の5つの広範な戦略からなる。

(注2)シンガポールは通貨金融管理庁(MAS、中央銀行に相当)。

(朝倉啓介)

(ASEAN、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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