2023年第1四半期の貿易赤字は前年同期比30.7%増

(トルコ、ロシア、ウクライナ)

イスタンブール発

2023年05月10日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(4月28日付、暫定値)によると、2023年第1四半期(1~3月)の輸出は前年同期比2.5%増の615億5,800万ドル、輸入は11.1%増の962億5,000万ドルで、輸入超過により貿易赤字は30.7%増の346億9,200万ドルとなった。

輸出を品目別にみると、最大の輸出品目である自動車・同部品が前年同期比18.0%増と回復し、最大の寄与となった。次いで一般機械(16.6%増)、電気機器(21.6%増)、鉱物性燃料(14.8%増)が寄与している。一方、前年下半期にみられた鉄鋼需要の減速(2023年2月9日記事参照)は続いており、49.3%減と最大のマイナス寄与になった(添付資料表1参照)。

国・地域別の輸出では、欧米の制裁対象国となっているロシア向けが前年同期比で約2.7倍となり、最大の寄与になった。なお、ウクライナ向けも約2.1倍と急伸しており、トルコ政府の仲介外交が輸出に好感しているとみられる。一方で、輸出額全体の42.1%を占めるEU向けは0.9%増にとどまった。輸出額順にみると、首位のドイツ向けは4.7%増となったが、前年同期に好調だった米国(9.0%減)、イタリア(4.7%減)などは伸び率がマイナスとなった(添付資料表2参照)。

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目の鉱物性燃料は、石油・ガス価格が世界的に下落傾向にある中、前年同期比14.5%減となった。他方、金を主体とする貴金属類は約4.3倍と、2022年の前年比以上の伸びを記録している。また、自動車・同部品(69.9%増)、電気機器(40.1%増)、一般機械(25.7%増)などが好調だった(添付資料表3参照)。

国・地域別の輸入では、金の強い需要を受け、スイスからの輸入が前年同期比で約11倍の増加となった。またEUも、ドイツ(19.4%増)、イタリア(20.7%増)、フランス(26.8%増)といった主要国からの輸入が好調で、16.5%増となった。天然ガスを主力とするロシアからの輸入は、2.8%増にとどまった(添付資料表4参照)。

メフメト・ムシュ貿易相は4月4日の記者会見で、2月6日にトルコ南東部を襲った地震による生産・供給活動への悪影響にもかかわらず、3 月単月の輸出額は、史上最高の月間輸出額を記録したと述べ、被災地域の生産活動と輸出は今後も回復し続けると予測した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同相によると、トルコの輸出に占める南東部の割合は2022年に8.6%に達した。また、国連食糧農業機関(FAO)によれば、同地域は特に農産食品の分野で、トルコの輸出の約20%を占めている。

(中島敏博)

(トルコ、ロシア、ウクライナ)

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