2022年のトルコの輸出は前年比12.9%増も、貿易赤字は倍増

(トルコ、ロシア)

イスタンブール発

2023年02月09日

トルコ統計機構(TUIK)の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1月31日付、暫定値)によると、2022年の輸出は前年比12.9%増の2,541億7,200万ドル、輸入は34.0%増の3,637億1,100万ドルで、輸入超過により貿易赤字は同2.4倍の1,095億3,900万ドルとなった。通貨トルコ・リラ安で輸出競争力が高まった半面、輸入エネルギーコストも上昇し、輸入の伸びが輸出を上回った。12月単月では、輸出は前年同月比3.0%増の229億1,000万ドル、輸入は、鉱物性燃料や貴金属、中間財が牽引し、輸出の伸び率を上回る12.2%増の326億1,200万ドルだった。

輸出を品目別にみると、鉱物性燃料が前年比92.5%増で最大の伸び率となった。そのほかには、電気機器(14.1%増)、一般機械(9.1%増)、自動車・同部品(7.1%増)、プラスチック製品(15.5%増)が伸びた。一方、上半期に好調だった鉄鋼(2022年8月8日記事参照)は、世界的な需要減もあり、下半期に減少し、通年では14.3%減となった(添付資料表1参照)。

国・地域別の輸出では、全体の40.6%を占めるEU向けが前年比10.8%増と、上半期の前年同期比21.7%増から大きく鈍化した。国別では、ドイツが首位、次いで米国、第3位のイラク向けが23.6%増と好調だった。最大の寄与度となったのはロシアで、伸び率は61.8%増だった(添付資料表2参照)。

輸入を品目別にみると、最大の輸入品目の鉱物性燃料は、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰とトルコ・リラ安の影響で、前年比90.5%増となり、金を主体とする貴金属類(3.3倍)とともに、貿易赤字の主因となった。一般機械(11.7%増)、自動車・同部品(13.4%増)、有機化学品(19.0%増)が好調だった(添付資料表3参照)。

国・地域別の輸入では、天然ガスを主力とするロシアからの輸入が約2倍に急伸している。中国が28.3%増、インドが34.8%増となったほか、金需要の増加でスイスが5倍となった。EUからは9.3%増だった(添付資料表4参照)。

レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は、2022年の輸出が過去最高水準に達したとし、世界が困難な状況にある中、トルコは輸出主導の成長が進んでいると主張した。

ロシアとの貿易に関しては、トルコが欧米によるロシア制裁に参加していないこともあり、両国間の貿易は増加しているが、米国はトルコの一部品目のロシア向け輸出に関して、軍事転用の可能性があるとして懸念を示している。

(中島敏博)

(トルコ、ロシア)

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