アラブ連盟外相会合でシリアの復帰が決定

(エジプト、シリア、米国、イラン)

カイロ発

2023年05月10日

アラブ連盟は5月7日、エジプトのカイロで外相会合を開催し、シリアを復帰させることで合意した。アラブ連盟は2011年11月から、バッシャール・アサド大統領による政権運営に反対する、シリア国民への弾圧に対する措置として同国の参加資格を停止。その後、シリアは内戦状態に陥り、アサド政権はロシアやイランなどの友好国を除き、国際社会からの孤立を深めていた。

2023年5月現在、シリア内戦は収束していないものの、アサド政権は首都ダマスカスを含む主要都市を掌握している。2023年2月6日のトルコ・シリア大地震が発生後、アラブ諸国からの支援があり、要人のシリア訪問も続いている(2023年2月20日記事参照)。

2月27日には、5月7日の外相会合で議長を務めたエジプトのサーメハ・シュクリ外相が訪問した。また、4月18日には、5月19日にリヤドで開催されるアラブ連盟首脳会合に向けて、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相が、ダマスカスでアサド大統領と面談し、アラブ連盟への復帰の先鞭(せんべん)をつけた。シリアのフセイン・アルヌース首相は5月7日の決定を受け、「シリアは(アラブ連盟との)新たな協力段階に入った」と述べた。

アラブ諸国がシリアとの関係改善を模索する中、イランのイブラーヒーム・ライーシー大統領は、5月3日に経済閣僚らと共にシリアを訪問(2023年5月8日記事参照)し、商業、石油・エネルギー、インフラを含む複数の経済分野での2国間の連携強化を合意している。一方で、米国国務省は5月3日、米国はアサド政権との関係を正常化させる予定はなく、他国のシリアとの国交正常化も支持しないと表明している。

(福山豊和)

(エジプト、シリア、米国、イラン)

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