欧州中央銀行、7会合連続利上げ、上げ幅は縮小
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2023年05月08日
欧州中央銀行(ECB)は5月4日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、3つの主要政策金利を0.25ポイント引き上げると発表した。利上げは7会合連続だが、上げ幅は前回までの0.5ポイント(2023年3月17日記事参照)から3会合ぶりに縮小した。今回の決定で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は3.50%から3.75%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は3.75%から4.00%、預金ファシリティー金利は3.00%から3.25%となる。5月10日以降に適用される。
2022年7月1日に終了した、ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)については、前回会合までは、同プログラムの下で購入して保有する債券・国債は2月末までは全額再投資し、3月から6月末まで再投資額を毎月平均150億ユーロずつ減少させるとしていた。今回の会合では、上記を維持するとともに、7月には再投資を終了したい意向を示した。
2022年3月末に終了した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間については、前回会合と同様、少なくとも2024年末とする方針を維持した。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、「インフレ見通しは引き続き、高すぎる状態がとても長く続いている」と発言。上振れリスクとして、ウクライナ情勢によるエネルギーや食品のコスト上昇に言及した。今後の金利の方針については明言せず、引き続き経済や金融関連のデータやインフレ見通しの評価に基づいて行うとした。
(作山直樹)
(EU、ユーロ圏)
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