欧州中央銀行、主要金利引き上げ発表も今後の方針は明言せず

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2023年03月17日

欧州中央銀行(ECB)は3月16日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、3つの主要政策金利を引き上げると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。6会合連続の利上げとなり、上げ幅は前回会合で示したとおり(2023年2月3日記事参照)0.5ポイントの引き上げとした。これにより、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は3.00%から3.50%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は3.25%から3.75%、預金ファシリティー金利は2.50%から3.00%となる。

2022年7月1日に終了した、ユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)については前回の方針を維持するとした。同プログラムの下で購入して保有する債券・国債は2023年3月1日から再投資額を減少させており、6月末まで再投資額を毎月平均150億ユーロずつ減少させる。6月末以降の減少幅は今後の状況に応じて見極める方針だ。

2022年3月末に終了した資産購入プログラム「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)」を通じて購入し保有する債券・国債の償還後の再投資期間についても、少なくとも2024年末までとする方針を維持した。

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、インフレ率は高すぎる状態が長く続くと予測されるとしつつ、今後の金利の方針については現時点でコメント不可能で、今後のデータ次第だとした。

2023年のユーロ圏の経済成長予測は上方修正

記者会見に合わせて発表したユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2023年の実質GDP成長率を前回(2022年12月)予測値の0.5%から1.0%に上方修正した(添付資料表参照)。2024年は1.9%から1.6%、2025年については1.8%から1.6%へとそれぞれ下方修正した。

(作山直樹)

(EU、ユーロ圏)

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