ZFとスイス半導体大手STマイクロエレクトロニクスがSiC半導体の複数年供給契約を締結

(ドイツ、スイス)

ミュンヘン発

2023年04月21日

ドイツの自動車部品大手ZFフリードリヒスハーフェンとスイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は4月13日、自動車向けシリコンカーバイド(SiC)半導体(注)の複数年供給契約を締結したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今回の契約で、2025年から数千万個のSiC半導体がSTからZFに供給されることが決まった。ZFはSTのSiC半導体を、2025年に量産を開始する新たな電気自動車(EV)向けインバータプラットフォームへ導入する予定だ。SiC半導体はSTのイタリアとシンガポールの前工程工場で生産され、モロッコと中国の後工程工場において半導体パッケージへの実装と検査が行われる。

ZFの2030年までのEモビリティーの受注額は現在300億ユーロを超えており、同社製品の安定供給のために、SiC半導体の欧州内でのサプライチェーン強化に力を入れている。ZFは今回の契約のほかにも、2023年2月に、米国の半導体大手ウルフスピードとのドイツにおけるSiC半導体の開発のための戦略的連携の締結を発表している(2023年2月7日記事参照)。具体的には、ドイツでの共同開発センターの設立やウルフスピードのドイツの工場新設のための投資で協力する。

ドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)は、2030年の世界の半導体市場は2021年(5,560億ドル)の1.8倍の1兆ドルまで拡大すると予測しており(2023年3月6日記事参照)、需要の拡大に対応するため、ZFをはじめとするメーカー各社が生産体制や半導体開発の強化を進めている。

(注)シリコン(Si)と炭素(C)で構成される化合物半導体。従来のシリコン半導体よりも高いエネルギー効率で、小型化、軽量化、コストダウンを可能にする。

(宮林和夢)

(ドイツ、スイス)

ビジネス短信 efc288d613828da0