2月のカナダ消費者物価指数、前年同月比5.2%上昇

(カナダ)

トロント発

2023年03月22日

カナダ統計局が3月21日に発表した2月の消費者物価指数(CPI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年同月比で5.2%上昇と、1月の上昇率(5.9%、2023年2月22日記事参照)を0.7ポイント下回った。2020年4月以降で最大の減速幅となった。統計局は、2022年2月のCPIが前月比で1.0%上昇したことによる基準年効果を減速の要因として挙げた(添付資料表参照)。

品目別では、食料品は前年同月比で9.7%増を記録し、このうち家庭用食品は10.6%上昇と、7カ月連続で2桁上昇を続けている。

また、住居関連も前年同月比で6.1%上昇したが、2022年11月の7.2%上昇をピークに、3カ月連続で上昇幅は鈍化している。住宅市場の冷え込みを反映し、2023年2月の持ち家の建て替え費用(3.3%上昇)や、その他の持ち家費用(0.2%上昇)の伸びが鈍化した。ただし、住宅ローン金利コストは、政策金利引き上げ(2023年1月26日記事参照)を受けて、前年同月比は23.9%上昇し、1982年7月以降最大の上昇率となった。

一方、2月のエネルギー価格は、供給増に伴って1月の前年同月比5.4%上昇から0.6%下落に転じた。下落を牽引したガソリン価格は、2022年初頭のロシアのウクライナ侵攻時の価格急騰による基準年効果の影響もあり、前年同月比で4.7%下落し、2021年1月以来の下落となった。

発表を受けて、TD銀行のマネジング・ディレクター兼シニアエコノミスト、レスリー・プレストン氏は「カナダのインフレは、2022年のピーク時のペースから冷え込み続けている。しかし、コア指標は前年同月比5%をわずかに下回る程度で、カナダ中央銀行(中銀)が目標とする1〜3%の範囲内に優に収まるにはまだ程遠い。当行では、範囲内に収まるのは2023年後半になると予想する」とコメントした。さらに、昨今の米国銀行の経営破綻(2023年3月13日3月14日記事参照)に関連し、「本日のCPI発表では、中銀が利上げの一時停止を解消するような内容はなかった。米国の連邦準備制度理事会(FRB)とは異なり、カナダのインフレ動向は、現在の銀行分野における国際的な重圧に起因する金融市場の乱高下をカナダ中銀が乗り切れることを意味する」と述べた(TDエコノミクス3月21日)。

中銀の次回政策金利の発表は4月12日に予定されている。

(飯田洋子)

(カナダ)

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