3月の失業率は横ばいの3.5%、労働市場の逼迫は改善せず

(オーストラリア)

シドニー発

2023年04月26日

オーストラリア統計局(ABS)は4月13日、2023年3月の雇用統計を発表し、失業率(注1)が、前月から横ばいの3.5%だったと発表した。2022年6月以降、10カ月連続で1974年8月以来の最低水準が続いている。雇用主が多くの求人を出しても、必要な労働者数を採用することは難しく、労働者不足が緩和されていない状況だ。長く続く労働市場の逼迫に終わりが見えない(2023年1月30日記事参照)。

就業者数は前月比で5万3,000人増加し(0.4%増)、1,388万4,400人となった。一方、前年同月比(原指数)でみると、就業者数は3.1%増だった。不完全雇用率は前月から0.4ポイント増の6.2%となった。また、労働力の未活用率は0.3ポイント増の9.7%だった。

失業率を州別にみると、タスマニア州(前月比0.4ポイント増の4.0%)、ニューサウスウェールズ州(0.1ポイント増の3.3%)、クイーンズランド州(0.1ポイント増の3.9%)、で失業率が上がっている。一方、北部準州(1.1ポイント減の3.5%)、西オーストラリア州(0.4ポイント減の3.4%)、ビクトリア州(0.1ポイント減の3.6%)、南オーストラリア州(0.1ポイント減の3.7%)、首都特別地域(0.1ポイント減の2.8%)で失業率が下がっている。

現地メディアは、今回の雇用統計の発表を受け、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が賃上げやインフレ圧力を落ち着かせ、2023年内に労働需給を緩和することを期待して、5月に再び政策金利を引き上げる可能性が高まったとみる専門家の見方を報じている。

(注1)就業者数、月間総労働時間の前年同月比の値を除き、全て季節調整済みの数字。

(注2)RBAは、2022年5月から10回連続で利上げを行ってきたが、2023年4月には、これまでの利上げの影響を精査するために政策金利を3.60%で据え置いている(2023年4月19日記事参照)。

(児島亨)

(オーストラリア)

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