米国における世帯収入に関する調査、3割弱が夫婦ほぼ同額収入
(米国)
ニューヨーク発
2023年04月20日
米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは4月13日、異性間既婚者を対象とした世帯収入に関する調査結果(注)を発表した。
これによると、世帯収入全体に占める夫婦それぞれの収入割合を5つのケースに分けた場合、(1)「女性のみ収入がある」が6%、(2)「共働きで女性の収入が世帯収入の60%超」が10%、(3)「共働きでそれぞれ約40%以上60%以下のほぼ同額収入」が29%、(4)「共働きで男性の収入が世帯収入の60%超」が31%、(5)「男性のみ収入がある」が23%となった。女性のほうが高収入という(1)と(2)のケースを合わせた割合は16%で、1972年の5%と比較して約3倍となり、夫婦間における女性の経済的貢献が過去50年にわたり着実に拡大しているとした。(3)の「夫婦間でほぼ同額収入」も、1972年の11%から2.6倍に拡大した。
また、(1)の女性のみ収入がある場合の年収の中央値は4万5,000ドル、(5)の男性のみ収入がある場合は7万ドルとなった。(3)の共働きでほぼ同額収入の場合は、女性は6万ドル、男性は6万2,000ドルとなった。
さらに、世帯数を3人世帯に換算した場合の世帯年収の中央値は、(1)と(5)の女性のみまたは男性のみ収入がある世帯に比べ、(2)~(4)の共働き世帯が高くなった。共働き世帯の中でも、(2)共働きで女性の収入が世帯収入の60%以上を占める場合が最も高所得の14万5,000ドルとなった。一方で、前述のとおり、このようなケースは全体の10%のみとなっている。
なお、ジョー・バイデン大統領が2月27日に発表した、「国家ジェンダー公平・平等戦略(NGS)」への進捗報告には、「科学、技術、工学、数学(STEM)でのジェンダー格差の撤廃」などの優先事項に対する取り組みとして、女性に対する「良い仕事へのアクセスを支援し、職場環境の保護を促進する」ことも含まれている(2023年3月3日記事参照)。
今回調査では、既婚男性と女性それぞれにおいて、家庭内で男性と女性のどちらの収入のほうが多くあることを好んでいるのかとの質問に対し、「男性は男性が多く収入を得ていることを好む」と回答した割合は48%に対し、「男性は女性の方が多く収入を得ていることを好む」は3%だった。同様に、「女性は男性が多く収入を得ていることを好む」と回答した割合は22%だったのに対し、「女性は女性が多く収入を得ていることを好む」は7%だった。今回調査でも、(4)共働きで男性の収入が世帯収入の60%以上である家庭が31%と5ケースの中で最多であるのは、女性に対する良い仕事へのアクセスの有無などに加え、こうした個々の固定概念も影響しているとみられる。
(注)調査実施期間は2023年1月18~24日、調査対象者は5,715人で、調査回答者は5,152人(回答率90%)。
(吉田奈津絵)
(米国)
ビジネス短信 b271097ea287bf0c