米ホワイトハウス、国家ジェンダー公平・平等戦略の進捗報告を発表

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月03日

米国ホワイトハウスのジェンダー政策協議会は2月27日、2021年10月に掲げた国家ジェンダー公平・平等戦略(NGS)の優先課題に対する初の進捗報告書をジョー・バイデン大統領に提出した。米国務省が同日発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

NGSPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に記されたバイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領のあいさつ文では、冒頭で「米国は、全ての人、個々の尊さは平等であり、平等に扱われるべきであるという理想の上に築かれたという点で、世界でも特異な国家だ」と記された。それでも、「われわれはまだこの概念を完全に実現したことはない」と続け、「その実現に向けて努力を続けている」とした。NGSは連邦政府として初めてのジェンダーに関する戦略として発表された。

NGSでは以下の10の優先課題が挙げられた。(1)経済安定の向上と経済成長の加速、(2)ジェンダーに起因する暴力の排除、(3)生殖器関連を含む医療へのアクセスの保護・改善・拡大、(4)教育の場での機会平等と公平性の確保、(5)司法・移民制度でのジェンダー平等と公平性の推進、(6)法律の下での人権とジェンダー平等の推進、(7)安全保障と人道支援の場でのジェンダー平等の推進、(8)気候変動の緩和と対策の場でのジェンダー平等の推進、(9)科学、技術、工学、数学(STEM)でのジェンダー格差の撤廃、(10)民主運動、政界代表、リーダーシップへの全面的な参画の促進。

これに対し、2月27日に発表された報告書ワードファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)では、上記の優先課題を達成するための3つの指針が定められた。1点目は、連邦機関内のリソースと専門性を集結し、連邦政府の業務上で公平・平等な視点を浸透させることを確実にすること、2点目は、差別される理由が性別、人種、性自認、民族性、宗教、障害、年齢、社会経済的状況などのうち、2つ以上重なる人が特有な困難を抱えていることを認識すること、3点目は、10の優先課題は相互関係にあり、最良の結果を出すために連動して取り組むべきであることを認識すること。

その上で、具体的な取り組みとして、(1)家族の支援と生活費の減額、(2)良い仕事へのアクセスを支援し、職場環境の保護を促進、(3)G7などを通し、世界中の女性の経済安全保障を強化、(4)人工中絶などの緊急医療を含む生殖医療へのアクセスを保護、(5)妊婦の健康の推進を始めたとした。

シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが3月1日に発表した調査結果によれば、米国では社会的状況などにより過去20年で男女の賃金格差の縮小ペースは遅くなっている(2023年3月2日記事参照)。

(吉田奈津絵)

(米国)

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