米国民の7割弱が再エネ開発など気候変動対策を支持、シンクタンク調査

(米国)

米州課

2023年04月20日

米国では成人の7割弱が、政府が推進するカーボンニュートラル達成を支持するとともに再生可能エネルギー開発を優先すべきと考えていることが、米国シンクタンクの調査からわかった。

シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは4月18日、米国民の気候変動対策に対する意識などの調査結果(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、バイデン政権が掲げる2050年までのカーボンニュートラル達成については69%が支持するとし、風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギーの開発を優先すべきと69%が回答した。

また、「米国は化石燃料の使用を完全に廃止すべき」との回答は31%にとどまったが、年代別では、若年層(18~29歳)は48%、30~49歳は35%と高かった。支持政党別では、民主党支持者は49%と共和党支持者(11%)より化石燃料の廃止に前向きだった。

二酸化炭素(CO2)の排出量を削減するために連邦政府が奨励すべき対策については、「風力発電や太陽光発電」が66%と最も高く、「電気自動車(EV)の使用」(43%)、「原子力発電」(43%)、「石油・ガス掘削」(34%)、「石炭採掘」(21%)の順だった。

気候変動の影響を軽減するための努力が少なすぎるとされたのは、「大企業」が67%と最も高く、「地元の議員」(58%)、「一般の米国人」(57%)、「エネルギー業界」(55%)、「地元のコミュニティー」(48%)などとなった。自分自身の取り組みについては、「適切な努力をしている」と51%が回答したが、「あまり何もしていない」も43%あった。

気候変動の影響を軽減する国際的な取り組みに米国が参加することは、75%が支持した。米国と他の経済大国の取り組みの程度については、米国は他国と比して「遅れている」が36%、「より進んでいる」が32%、「同程度」が31%と意見が分かれた。

2022年11月にエジプトで開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)では、気候変動の悪影響に対して脆弱(ぜいじゃく)な途上国を支援するための「損失と損害(Loss and Damage)」基金の設立が盛り込まれた(2022年11月22日記事参照)。一方、発展途上国が再生可能なエネルギー源を構築するための資金援助を提供する責任が米国にないとする回答は59%だった。

(注)実施時期は2023年月3月13~19日。対象者は全米の成人1万701人。

(松岡智恵子)

(米国)

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