BMW、廃車由来の再生材を新車に利用するプロジェクト主導

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年04月27日

ドイツ自動車大手のBMWは4月20日、廃車から素材を回収し、新車に再利用するプロジェクトのコンソーシアムを同社が主導すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

プロジェクト名は「Car2Car」。BMWの廃車500台を活用する。回収の対象はアルミニウム、鉄鋼、ガラス、銅、プラスチック。プロジェクトに提供する廃車はBMWグループの小型車ミニから、最高級車のロールスロイスまで、さまざまなモデルを用意する。動力も内燃機関搭載車、プラグインハイブリッド車(PHEV)、バッテリー式電気自動車(BEV)までを用意することで、幅広い試行ができるようにする。

プロジェクトでは、廃車からの再生材の品質と純度を高めることが課題で、新車に活用できる再生材の量を増やすと同時に、リサイクル作業に必要なコストを抑えることを目指す。そのため、これまで人手に頼る部分が多かった解体プロセスをロボット技術で一部または高度に自動化する。破砕後のプロセスでは、光学技術と人工知能(AI)を活用したリサイクル可能な素材の認識、分別システムを導入する。

このプロジェクトはBMWが主導し、ミュンヘン工科大学などの大学、ヘルムホルツ研究所などの研究機関、ショルツ・リサイクリングなどのリサイクル企業、ティッセンクルップなどの鉄鋼・アルミニウム関連企業などが参画する。プロジェクトには、連邦経済・気候保護省が640万ユーロの助成を行う。

BMWは1994年から自動車メーカーとして唯一、自社のリサイクル・解体センターを有している。ミュンヘン近郊の同センターでは年間最大1万台の廃車を処理している。BMWはここから得た知見を同社だけでなく、リサイクル産業全体で共有していく。BMWは新車の再生材の使用比率を現状の約3割から5割まで高めることを目標に掲げる。

ドイツの自動車メーカーでは循環型経済を目指す動きが相次いでいる。アウディは3月、使用済み車両から鉄鋼、アルミニウム、プラスチックなどを回収し、新車生産に利用するプロジェクトを発表した(2023年3月14日記事参照)。BMWは1月にも、自動車産業で持続可能な素材を活用するパイロットプロジェクトを実施するためのコンソーシアムを発足させた(2023年2月15日記事参照)。

(高塚一)

(ドイツ)

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