マレーシア、英国のCPTPP加盟を歓迎、パーム油など輸出の追い風に

(マレーシア、英国)

クアラルンプール発

2023年04月04日

マレーシア国際貿易産業省(MITI)は4月1日、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への英国加盟交渉の妥結(2023年3月31日記事参照)を受け、歓迎する声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

声明でMITIは「世界第6位の経済大国・英国との初めての自由貿易協定」実現により、「マレーシアの輸出者は英国市場への市場アクセス改善の恩恵を受けられる」と期待を示した。また、中小企業を中心としたマレーシア企業の部材調達チャネルが拡大し、技術や能力の構築・向上に向けた支援を受けやすくなり、ひいてはマレーシアの経済成長加速や域内サプライチェーン強化にもつながると見通した。マレーシアにとって英国は、国際収支ベースの対内直接投資残高では第9位(シェア3.4%)、輸出先としては第20位(シェア0.6%)の相手国(いずれも2022年実績)。主な輸出品目はゴム手袋や動植物性油脂、集積回路、家具など。

ザフルル・アジズ国際貿易産業相も、リシ・スナク英首相の「(CPTPPは)英国がマレーシアと締結する最初の自由貿易協定だ」とのSNS投稿も引用し、英国加盟を個別にも歓迎。ザフルル大臣はとりわけ、パーム油やココア、ゴム、電気・電子製品、化学製品など広範な品目で英国が関税を撤廃することでマレーシアによる輸出拡大のチャンスになると述べた。ファディラ・ユソフ副首相兼プランテーション・商品相も、パーム油に対する否定的な見方を排除する側面で、英国の協定加盟を歓迎し両国関係の深化に期待を表明した。

なお、マレーシアでは、CPTPPを実質的に利用できない状況が一時発生したものの、協定自体は2022年11月に発効済み(2023年1月5日記事参照)。

(吾郷伊都子)

(マレーシア、英国)

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