グジャラート州政府、新分野含む20件の新規投資案件を発表

(インド)

アーメダバード発

2023年04月04日

インドのグジャラート(GJ)州政府は、2022年10月に州政府が発表した「自立したグジャラート産業支援策」(2022年10月24日付地域・分析レポート参照)を通じて、中央政府のナレンドラ・モディ首相が掲げる「自立したインド」(2020年5月20日記事参照)の実現に貢献するというコミットメントを強力に打ち出している。3月2日にも、新たに総額1,182億ルピー(約1,891億円、1ルピー=約1.6円)に上る20件の覚書(MoU)を締結したと発表した。今回の締結により、州内に1万6,100人の雇用が新たに創出されるもよう。

GJ州政府はブペンドラ・パテル州首相の指導の下、2023年2月13日以降、毎週月曜日に新規投資案件のMoU締結式を行っており、3月末時点までに総額7,937億5,000万ルピー、計56件のMoUを締結し、約5万4,730人の雇用機会の創出を見込んでいる。同支援策の下では、これまでにインド企業のほかにも、ドイツや米国、英国、クウェート、マレーシアなども覚書に署名したとされている。

新規案件の産業分野は、リチウムイオン電池素材、先進医薬中間体、高密度ソーダ灰、食品加工、特殊化学品、原薬(API)、クラフト紙・二重紙ボード、パーソナルケア用特殊製品、農薬などと公表されている。

上記新規案件の進出先はダへジ、サヤカ、ジャガディア、サチン、サリガム、アンクレシュワール、ドゥワルカ、ドルカ、サドラ・カディ、サナンド、バピといった州内の各地域とされており、2025/2026年度(2025年4月~2026年3月)までに商業生産を開始するとしている。

インド国内で化学分野や製薬産業分野をリードするGJ州の特徴が反映され、今回の案件の中には、大手製薬や化学産業の大型投資が複数含まれている。また、リチウムイオン電池素材分野が含まれている点も注目される。

現地報道によると、ネオゲン・ケミカルス社はダへジにリチウムイオン電池素材と先進的製薬中間体の製造工場を建設する(「インディアン・ケミカル・ニュース」3月22日)。製薬大手カディラ・ファーマソーティカル社はダへジ、バルーチ、アンクレシュワールにAPI工場を、ドルカには錠剤、カプセルの製造工場を新設し、2025年度までに500人を新規雇用する計画としている(「インディアン・エクスプレス」紙3月22日)。化学品大手アヌパム・ラサヤン社も67億ルピーを投資し、ジャガディア、サチンに3つの製造工場を新設し、2025年度をめどに米国、EU、日本などの農化学、ポリマー、製薬関連の既存・潜在顧客に向けたフッ素化合物、派生製品の生産を開始するとしている(「タイムス・オブ・インディア 」紙3月23日)。

GJ州政府内の情報筋によると、毎週月曜日の定例となったMoU締結式は今後も継続される見込みだ(3月22日、ジェトロのヒアリングによる)。

(古川毅彦)

(インド)

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