IMF、ロシアの経済見通しを修正、2024年以降は減速

(ロシア、世界)

欧州課

2023年04月18日

IMFは4月11日、世界経済見通し改定版を発表した(2023年4月13日記事参照)。ロシアの実質GDP成長率は、2023年0.7%、2024年は1.3%になると予測。1月時点の予測(2023年2月1日記事参照)と比較して、2023年は0.4ポイントの上方修正となったが、2024年の成長率を0.8ポイント下方修正した。

IMFのピエール・オリビエ・グランシャ経済顧問兼調査局長によると、2022年は非常に高いエネルギー価格を背景にした資源輸出がロシアの歳入を増やし、大幅な財政支出がロシア経済を牽引した。グランシャ氏は、2023年も公的支出が経済を下支えするが、2023年の原油価格が前年と比べて大幅に下落する見通しであることや、ロシア産原油価格が他の原油価格と比べて低いことを挙げ、2023年以降はロシアの財政が悪化すると見方を述べた。ペチヤ・コエバ・ブルックス調査局長代理は、2023年がプラス成長になる要因として、前年がマイナス成長だったことや、前年後半に行われた国防支出の効果が表れてくることを挙げた。中期的には潜在成長率が戦前よりも低い水準の0.8%程度になると分析した。

他方でロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4月11日、経済問題に関する関係閣僚会合で、政府による経済成長の見通しが改善したと述べた。4月に入って小売業や貨物輸送、企業活動指標が改善していることから、実質GDPは大幅に増えるだろうとの見方を述べた。歳入については、2023年第1四半期(1~3月)が前年と同水準であることや、石油・ガス以外の歳入が増えており、全体的には良好だとした。しかし、外的要因によるリスクがあるため、政府は国内の産業や企業を注視し、状況に応じて適切な対応をする必要があると説明した。

ロシア連邦国家統計局は4月7日、2022年の実質GDP成長率の2次速報値をマイナス2.1%と発表したが、1次速報値と変わらなかった(2023年4月14日記事参照)。

(小野塚信)

(ロシア、世界)

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