米国の油井からの随伴ガス生産量、2050年まで増加の見通し、米エネルギー情報局分析

(米国)

ヒューストン発

2023年04月12日

米国エネルギー情報局(EIA)は4月11日、油井から生産される随伴ガスが2050年まで増加するとの見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。この見通しは、3月16日にEIAが発表した2023年版年次エネルギー見通し外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づくもの。

EIAによると、同見通しの標準ケースでは、随伴ガス生産量が2025年に7兆2,000億立方フィート(約2,039億立方メートル)、2050年には8兆8,000億立方フィートとなる。また、2050年までの米国の天然ガス生産量のうち、随伴ガス生産量が約20%を占めると予測している。なお、このケースは、インフレ削減法(IRA、2022年10月6日付地域・分析レポート参照)を含む2022年11月中旬までに採択された法律などを可能な限り反映したものとされている。

随伴ガスは、歴史的に米国の天然ガス供給量に占める割合が比較的小さいとされており、2010年の随伴ガス生産量は1兆3,000億立方フィートで、米国の天然ガス生産量の約6%ほどだった。それが2022年には、5兆6,000億立方フィートまで増加し、米国の天然ガス生産量の15%以上にまで増加した。

随伴ガスのほとんどはパーミアン盆地で生産されている。同盆地は、テキサス州西部とニューメキシコ州南東部の一部にまたがる広大な地域で、国内有数のシェールオイルとシェールガスの生産地として知られている。同見通しの標準ケースでは、同盆地の随伴ガス生産量は2025年の4兆4,000億立方フィートから2050年には4兆9,000億立方フィートまで増加し、この期間の米国の随伴ガス生産量増加分の約3分の1を占めると予測している。

EIAは随伴ガス生産量増加の主な要因として、(1)原油価格の上昇により、天然ガスを多く含むシェールオイルの生産が増加していること、(2)シェールオイル井の老朽化に伴い、石油に比べて、天然ガスの生産比率が高くなる傾向があること、(3)油井からより多くの天然ガスを回収するよう石油ガス事業者に促すIRAの規定があることの3点を挙げている。

(沖本憲司)

(米国)

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