カザフスタン新内閣、首相は与党第1党の指名で再任
(カザフスタン)
タシケント発
2023年04月12日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は、4月4日までに新内閣の各閣僚を任命する大統領令に署名した(大統領府ウェブサイト)。
閣僚の交代は外相とエネルギー相のみにとどまり、そのほかは1月の内閣改造時(2023年1月16日記事参照)に任命された閣僚が留任した。2022年1月の暴動後、大統領府長官としてトカエフ大統領を支えたムラト・ヌルティレウ氏が外相(副首相兼任)に、国家福祉基金「サムルク・カズィナ」総裁だったアルマサダム・サトカリエフ氏がエネルギー相に就任した。なお、エネルギー相のボラト・アクチュラコフ氏は大統領顧問に任命された。
3月19日の下院議員選挙(2023年3月29日記事参照)後、初となる上下両院合同会議が同29日に開催され、内閣が総辞職。翌30日に与党第1党「アマナト(未来への信託)」が、首相候補に現職のアリハン・スマイロフ氏を推薦。議会採決を経たのち、トカエフ大統領に任命された。
トカエフ大統領は3月29日の上下両院合同会議において、「選挙に勝利した政党が首相を指名する権利を持つ。同時に指名した党は政治責任を負う」と述べ、大統領と議会、政府の権限と役割を確認した(注)。また、将来的な複数政党による政府関与にも触れ、各政党に行政の人材の育成、確保に努めるよう提案した(カピタルKZ 3月29日)。
再任されたスマイロフ首相は、大統領および与党アマナトの政策の実現を目指し、各政党、経済界、国民の意見を幅広く取り入れながら、a.経済成長率中期目標5%達成、b.2023年末までのインフレ半減、c.起業家支援とビジネス環境の改善と雇用の確保、d.経済の多様化と商品の国産化の推進、e.食料安全保障を確保するための総合的農業支援、f.エネルギーの安定供給および公共インフラの近代化、g.国際物流網の整備、h.教育、医療における効率と質の向上、i.デジタルプラットフォームの導入などのデジタル化の推進などの優先課題に取り組んでいくと抱負を語った(カザフスタンスカヤ・プラウダ3月30日)。
(注)カザフスタン憲法では、大統領は議会の各政党との協議を経たのち、議会に対し首相候補を提示し、議会の承認を得るものとされている(第44条)。
(増島繁延)
(カザフスタン)
ビジネス短信 25a8394fc75e5553