トカエフ大統領が内閣改造を実施
(カザフスタン)
タシケント発
2023年01月16日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は1月4日、閣僚人事に関する大統領令に署名した(大統領ウェブサイト2023年1月4日)。
閣僚交代があったのは、産業・インフラ発展省、法務省、文化・スポーツ省、教育省、環境・天然資源省(注1)の5省で、そのほかは留任だった。文化・スポーツ相のアスハト・オラロフ氏と環境・天然資源相のズルフィア・スレイメノワ氏は32歳。大統領付属青年公務員人材バンク(注2)出身で、実務能力の高い若手人材として抜てきされた。このほか、首相府の名称変更(注3)に伴い、ガリムジャン・コイシバエフ首相府長官が副首相兼内閣官房長官となった(添付資料表参照)。
トカエフ大統領は12月の拡大政府会議で、2022年の経済成長率が1~5月の前年同期比4.6%から1~11月には2.7%に減速していることを指摘するとともに、インフレ上昇を抑制できていない現状に触れて、内閣の対応を非難した。また、2023年から行政改革に着手し、中央・地方行政組織で大規模な人事の刷新を図ると発言。カザフスタンでは、公職の縁故採用が根強く残り、不公正な競争なき採用が行政の非効率化につながっており、有能な人材を民間から採用する仕組みが必要と述べていた。
カザフスタン・リスクス・アセスメントグループ代表の政治学者ドシム・サトパエフ氏は、前政権時代に培われた非効率な体質は行政機構の隅々まで根付いており、効果的な国家システムの構築には、単に人事の交代を繰り返すのではなく、行政機構を抜本的に改革し、人材登用のチャンネルを多様化することが必要だと指摘している(フォーブス・カザフスタン1月6日)。
(注1)環境・地質・天然資源省は1月2日付の大統領令80号によって再編し、環境・天然資源省に改名した。地下資源の探査・利用などをつかさどる地質部門は産業・インフラ発展省に移管された。
(注2)才能ある若者に対して公職で指導的地位に就く機会を提供・支援する人材バンク。採用された者は候補生として行政アカデミーなどで研修を受けることができる。
(注3)1月2日付の大統領令79号により、首相府を内閣府に改組した。中央・地方の行政機関の活動を調整し、首相と政府に対し組織・法律などに関する専門分析と、人的支援や情報支援などの後方支援を提供する機能を持つ。
(増島繁延)
(カザフスタン)
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