ウクライナのゼレンスキー大統領がポーランド訪問、安全保障と経済協力強化へ

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は4月5日、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領の招待により、オレナ・ゼレンスカ大統領夫人や政府高官を伴ってポーランドを公式訪問した。ドゥダ大統領やマテウシュ・モラビエツキ首相と会談したほか、ポーランド・ウクライナ経済フォーラムでは、両国の実業界の代表者らとも面会した。

首都ワルシャワで行われた首脳会談後、ゼレンスキー大統領は、ロシアによる侵攻当初からウクライナに強力な政治的サポートを行ってきたポーランド政府や、自発的に避難者支援に立ち上がったポーランド国民への謝意を表明するとともに、ポーランドはウクライナ復興の主要パートナーとの考えを示した。

ドゥダ大統領は5日の午後、ポーランド投資・貿易庁（PAIH）が開催したポーランド・ウクライナ経済フォーラムで、戦争にもかかわらずに両国間の貿易取引額が記録的なことに注目し、ポーランドがウクライナにとって最大の貿易相手国と強調し、ウクライナ再建に中心的な役割を担う姿勢を明らかにした。

ポーランドの開発・技術省とPAIHは2022年6月から、ウクライナ復興プロジェクトへの参加を希望するポーランド企業を募集しており、開発・技術省によると、現在までに2,100社以上の応募があった。

両大統領はまた、安全保障や経済面での協力を一層深めていくことで合意したほか、ウクライナ産穀物の流入によりポーランド産穀物の価格が下落している問題などについても協議した。

今回の訪問の成果として、以下の3つの文書が署名された。

1. ゼレンスキー大統領とモラビエツキ首相との間で、ウクライナが装甲車「ロソマク」などのポーランド製兵器を購入する意向表明書（LoI）。
2. ポーランド国営軍需企業PGZと、ウクライナの武器システム開発企業アルテムとの間で、ウクライナ軍のため戦車用弾薬の共同生産に関する合意文書。
3. ウクライナのオレクサンドル・クブラコフ復興担当副首相兼地方・国土・インフラ発展相とポーランドのバルデマール・ブダ開発・技術相との間で、ウクライナ復興に向けた両国の経済協力強化に関する覚書。

3.の覚書で、ウクライナ側は同国の復興国家計画の枠組みで実施されるプロジェクトや入札について、ポーランドへの定期的な情報提供を行うこと、ポーランド側は必要な資材や製品の供給を含め、ウクライナの復興への参加に関心を持つポーランド企業の情報をウクライナ側に知らせることを明らかにした。

ゼレンスキー大統領は2022年12月と2023年2月の2回、ポーランドを実務訪問し、ドゥダ大統領と会談したが、ロシアのウクライナ侵攻以降、ゼレンスカ大統領夫人を同伴した外国公式訪問は今回が初めて。

（マルタ・ゴロンカ）