3月の米消費者物価、前年同月比5.0%上昇で大幅鈍化も、コア指数は5.6%上昇で伸び加速

(米国)

ニューヨーク発

2023年04月13日

米国労働省が4月12日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、前年同月比5.0%上昇となり、前月の6.0%上昇から大幅に減速し、民間予想の5.1%上昇を下回った(添付資料図参照)。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同5.6%上昇で、前月の5.5%上昇から伸びが加速、民間予想と一致した。前月比ではCPIは0.1%上昇(前月0.4%上昇)、コア指数が0.4%上昇(前月0.5%上昇)、民間予想はそれぞれ0.2%上昇、0.4%上昇だった。

品目別に前年同月比で見ると、ガソリンは17.4%低下(前月2.0%低下)と大きく低下し、前月比でも4.6%低下と3カ月振りの低下となった。食料品は8.5%上昇(前月9.5%上昇)と伸びは7カ月連続で鈍化した。内訳では、家庭用食品は大きく伸びが鈍化したが、外食は伸びが加速した。

財は1.5%上昇(前月1.0%上昇)と7カ月振りに伸びが加速し、前月比でも0.2%上昇だった。うち中古車は前年同月比11.2%低下(前月13.6%低下)と5カ月連続でマイナスだった。新車は6.1%上昇と前月(5.8%上昇)から伸びが加速した。

サービスは7.1%上昇(前月7.3%上昇)と、2021年8月以降で初めて伸びが鈍化した。物価全体の約3割のウエートを占める住居費が8.2%上昇(前月8.1%上昇)と伸びは加速したものの、2023年に入ってからは伸びの鈍化傾向が見られた。医療サービス1.0%上昇(前月2.1%上昇)、輸送サービス13.9%上昇(前月14.6%上昇)なども、伸びの鈍化が見られた(添付資料表参照)。

3月のCPIは大きく鈍化したが、下落が最も大きいのはガソリンなどのエネルギー価格で、これはロシアによるウクライナ侵攻によって、2022年3月にエネルギー価格が一気に高騰した影響が大きく、これを考慮すれば見た目ほど物価下落は大きくない。実際に、コア指数でみれば3月はむしろ加速しており、今回は物価全体とコア指数の伸びの大きさが逆転した。

住居費や医療費、外食費など低下しにくいと考えられる項目のみを集計したアトランタ連邦準備銀行の「粘着CPI」は、3月に前年同月比6.6%上昇で、2022年9月の6.5%からほとんど変動しておらず、当局が重視するコア指数でみれば、物価鈍化の明確な傾向は見られない。ただし、サービス価格が今回久々に鈍化し、先日の雇用統計でも一部で賃金上昇の鈍化傾向が見られるなど(2023年4月12日記事参照)、わずかながらもインフレ抑制の明るい傾向も見え始める。

シリコンバレー銀行破綻などによる金融セクターの信用不安もくすぶる中(2023年4月13日記事参照)、今回の物価動向などを踏まえ、5月2、3日に予定される次回連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の引き上げ幅がどのように判断されるか注目される。

(宮野慶太)

(米国)

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