サウジアラビア・イランの国交回復、中国も含めた共同声明を発表

(中国、サウジアラビア、イラン)

北京発

2023年03月13日

中国の外交部は3月10日、中国、サウジアラビア、イランの3カ国共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。外交部によれば、サウジアラビアとイランは国交回復と2カ月以内の双方の大使館・代表機関の再開、主権尊重と内政への不干渉、外相会談の実施とそれに向けた大使派遣などを含む協定に合意した。また、両国が2001年4月17日に締結した安全保障協力協定と1998年5月27日に締結した経済、貿易、投資、技術、科学、文化、スポーツ、青少年などの分野に関する協定を再度有効なものとすることにも同意した〔2023年3月13日記事(リヤド発)、2023年3月13日記事(テヘラン発)参照〕。

声明は3月6~10日に北京市で開催された、サウジアラビア・イラン会談の成果として発表したもの。外交部によれば、今回の会談は、習近平国家主席の両国の友好関係発展に関する呼びかけに応じたもので、中国が開催を引き受け・支援するという合意の下で開催された。中国の外交トップの王毅・共産党中央政治局委員(中央外事弁公室主任)が会談を取り仕切ったとされる。

王政治局委員は会談の閉会式で、両国が国連憲章の趣旨と原則を順守すると強調したことを評価し、関係改善は「中東の平和・安定への道を切り開き、対話と協議を通じて国家間の対立を緩和するモデルを打ち立てた」とした。その上で、合意の実施に向けて「両国の信頼できる友人として、中国は引き続き建設的な役割を発揮する」とした。

会談に出席したサウジアラビアのムサーイド・ビン・ムハンマド・アル・アイバーン国務相、イランのアリー・シャムハーニ国家安全保障最高評議会書記は共に中国の「大国外交」を評価し、今回の会談実施と成功に感謝したとされる。

また、外交部は3月11日に会談についての見解を発表した。中国は中東に対していかなる私利も図らず、中東の国々の主人公としての地位を尊重し、中東での地政学的争いに反対し、いわゆる「真空」を埋めたり、排他的なグループを形成したりするつもりはないとした。その上で、中国は引き続き中東の平和と安定に対し、責任ある大国としての役割を発揮するとした。

報道では、今回の対話は習国家主席が2022年に提唱した「グローバル安全保障イニシアチブ」の実践との評価がみられる(「環球時報」3月13日)。

また、両国関係の改善により、世界の原油価格に対する米国の影響力が低下すると同時に、両国が重視する新エネルギー分野について、中国との協力が進むとの見方がある(「第一財経」3月12日)。

(河野円洋)

(中国、サウジアラビア、イラン)

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