イランとサウジアラビアが外交関係正常化で合意、イランの反応

(イラン、中国、サウジアラビア)

テヘラン発

2023年03月13日

イランとサウジアラビアは中国・北京で3月10日、中国の仲介により、7年ぶりに外交関係を正常化させることに合意し、中国も含めた3カ国の共同声明を発表した(2023年3月13日記事参照)。

イラン側の交渉を担当した国家安全保障最高会議のアリー・シャムハーニー書記は、イブラーヒーム・ライーシー大統領の2月の中国訪問と習近平国家主席との会談(2023年3月2日記事参照)が、イランとサウジアラビアの間に新しく、非常に真剣な交渉を形成するためのプラットフォームを提供したとした(3月10日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

イラン外務省は翌11日、声明を発表。今回の合意により、イラン政府は、イラン国民、イスラム教徒、友好国、近隣諸国の利益を保護し、平和と包摂的な安定を促進するとした。また、この合意は、ライーシー政権が近隣諸国に配慮した政策を実行している結果だとし、イランとサウジアラビア、そして西アジアの他の国々の共通の利益を守るうえで、肯定的な結果を保証するものだとした(3月11日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

ホセイン・アミール・アブドゥラヒヤーン外相も自身のツイッター上で、両国の関係回復は、両国、地域、そしてイスラム世界に大きな可能性をもたらすものとし、現政権が近隣諸国との外交を重視していることに触れ、この政策は正しい方向に進み続けており、外務省はこの地域でさらに積極的な措置を講じていくと述べた(3月10日付外務省外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

イランの国連常駐代表部も声明を発信した。両国間の外交関係の回復は、イエメンでの停戦、イエメン国民の対話の開始、同国での包括的な国家政府の形成を加速するだろうとした(3月12日付IRNA外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

イラン国内の各紙の報道ぶりとしては、政府系とされる「イラン」は3月11日、「米国の介入なしに隣人関係を回復」と題し、国連事務総長をはじめ、イラク、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)など各国が今回の合意を歓迎していると報じた。また、保守強硬派とされる「ケイハン」は、「イランとサウジアラビアの合意:アメリカとシオニスト政権への打撃」と題した論説を掲載した。

中道とされる「テヘラン・タイムズ」は、今回の合意を肯定的に報じる一方で、今後の進展については、イエメン戦争などにおけるサウジアラビアの対応を見る必要があるとした。

(注)2021~2022年に、イランとサウジアラビアはイラクとオマーンでも複数回の協議を実施したと報じられている。

(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)

(イラン、中国、サウジアラビア)

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