サウジアラビアがイランと国交再開へ、サウジアラビアの反応

(中東、サウジアラビア、イラン)

リヤド発

2023年03月13日

サウジアラビアとイランは3月10日、中国の仲介により、7年ぶりに外交関係を正常化させることに合意し、北京での3カ国の共同声明で発表した。

両国が合意した内容には、(a)今後2カ月以内に外交関係を再開し、相互に大使館や公館を設置する、(b)双方とも国家主権の尊重と内政への不干渉を確認することが含まれている。今後、両国外相が会合を行い、大使帰任の手配や、2国間関係を強化するための手段について協議する予定だ。また、2001年4月17日に署名された安全保障協力協定と、1998年5月27日に署名された経済、貿易、投資、技術、科学、文化、スポーツ、青少年の分野における協力のための一般協定の履行についても合意がなされた。また、中国を含めた3カ国政府は、地域および国際的な平和と安全の強化のためにあらゆる努力を払うことを表明した。

サウジアラビア政府代表団は、国家安全保障顧問であるムサード・ビン・モハメド・アル・アイバーン国務相、イラン政府代表団は、国家安全保障最高会議のアリー・シャムハーニー書記が団長を務め、両国は国連憲章およびイスラム協力機構(OIC)憲章の原則と目的、ならびに国際条約および規範を順守することを約束した。

近隣諸国は歓迎する一方、サウジアラビア国内には慎重な見方も

今回の合意後、ファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相は3月11日、ツイッター上で「サウジアラビアとイランの外交関係の再開は、政治的解決と対話を優先するというサウジアラビアのビジョンと、それをこの地域で永続させたいという熱意から生まれたもの」とのコメントを発表した。

今回のニュースについて、サウジアラビア国内メディアは、自国民に加えて周辺国をはじめとする国際社会の歓迎ぶりを報じている。サウジアラビア国内の政治経済動向に詳しい米国系シンクタンクの関係者は「今回の合意は、両国間の対話が順調に進展した結果だが、両国ともそれぞれが置かれた状況がこの合意を必要としていた。イエメン情勢にとっても望ましい。中東地域における中国の存在感の拡大も示した」と分析する。一方、「いずれかの国が合意事項を履行しない場合、関係は再び後退する可能性は残る」とし、しばらくの間は慎重に状況を見守る必要性を強調した。

(秋山士郎)

(中東、サウジアラビア、イラン)

ビジネス短信 9442c44a736725cd