全人代開幕、2023年の実質GDP成長率目標は5%前後に

(中国)

北京発

2023年03月07日

中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月5日に開幕し、李克強首相が同日、政府活動報告を行った。報告では2022年の活動を総括し、主要な経済目標の達成状況について評価するとともに、2023年の主要経済目標や重点取り組みについて発表した(重点取り組みについては2023年3月6日記事参照)。

2022年の経済については、難関を攻略し困難を克服する中で経済の基礎を安定させ、複雑で変化の多い環境で2022年の発展の主要な目標と取り組みを基本的に達成したとの認識を示した。

2023年の実質GDP成長率目標は前年の目標より0.5ポイント引き下げ、5%前後に設定した。消費者物価上昇率は前年並みの3%前後とした。雇用面では、都市部の新規就業者数を前年より100万人増の1,200万人前後に設定した一方、都市部調査失業率について前年は5.5%以内としていたところを5.5%前後に調整し、失業率の一定の上振れも許容する設定とした(添付資料表参照)。財政赤字の対GDP比は前年から0.2ポイント引き上げて3%とした。

国家発展改革委員会の趙辰昕副主任は3月6日の記者会見で、今回の実質GDP成長率目標設定について以下の3つの観点を指摘した。

  • 第20回中国共産党大会で決定した目標を実現するには、発展の質と効率を高めつつ、長期的に合理的な経済成長を保つ必要があり、雇用の拡大や民生の改善、リスクの防止・解消などの取り組みの上でも、一定の経済の伸びを保つ必要がある。
  • 5%前後という目標は経済のパフォーマンスの推移や経済発展の法則に沿ったもので、各関係者が経済発展の質と効率を高めることをより重視するように誘導することを通じて、新しい発展局面の構築の加速や質の高い発展の推進に寄与する。
  • 既に成長率(域内総生産)目標を発表している全31の省・直轄市・自治区のうち、27地区の目標が全国の目標を上回っているほか、23地区の目標が5.5%以上に設定されており、各地域の発展に対する自信と意欲が十分だ。

5%前後という実質GDP成長率目標について、中国国営メディアの新華社は、2022年の実績3%を上回るもので、経済を全体として好転させ、潜在成長率に回帰させるというポジティブなシグナルを発していると評価した(3月5日)。環球時報は、目標は現実的なもので、「今後の経済成長において直面する可能性のあるさまざまなリスクや不確実性に対応する余地を残したもの」と指摘している(3月5日)。

(小宮昇平)

(中国)

ビジネス短信 f1cb0a7756563e54