2022年の対内直接投資は前年比11.9%増の352億9,160万ドル

(メキシコ)

メキシコ発

2023年03月03日

メキシコ経済省外国投資局が2月中旬に発表した対内直接投資統計によると、2022年の対内直接投資額(国際収支ベース、フロー)は3529,160万ドルで、前年比11.9%増となった。2019年の3456,700万ドルを上回る投資額となっており、新型コロナ禍から回復した。2022年の対内投資額の内訳をみると、新規投資が全体の48.2%を占め、次いで利益再投資が45.4%、親子間勘定が6.4%となり、2021年に引き続き新規投資が最も大きかった。

主要国・地域別内訳をみると、最も投資額が大きい米国は前年比3.0%増の1502160万ドルで構成比は42.6%(添付資料表1参照)。米国からの投資は製造業が47.3%を占めているが、そのうち輸送機器が約4割を占める(添付資料表2参照)。2022年の米国の輸送機器における投資額は283,050万ドルで、そのうち完成車は132,680万ドル、自動車部品製造は126,880万ドルだった。次に構成比が大きいのは石油・天然ガスなどのパイプライン輸送を中心とした運輸・通信・倉庫業で20.5%、次いで金融・保険業が11.7%、建設が9.5%と続いた。米国に続いて2位のカナダの投資額は378,010万ドル(構成比10.7%)で、前年比52.5%増加した。例年では鉱業の投資が多いが、2022年は輸送関連サービスを含む運輸・郵便・倉庫業が51.1%を占め、次いで鉱業が17.6%、金融・保険業が12.0%という結果となった。3位のアルゼンチンからの投資額は231,590万ドル(構成比6.6%)だった。投資額の99.4%を製造業が占め、その中で鉄鋼部材を含む卑金属分野が98.4%となった。

日本からの投資は183,880万ドルで前年比21.9%増加し、主要国・地域別では前年の6位から4位へと順位を上げた。日本企業の対メキシコ投資は在米企業を介して行われることも多く、その場合、メキシコの対内直接投資では統計上、米国の投資として計上されるため、実際には統計より多くの日本企業が投資を行っているものとみられる。日本からの投資額の95.8%である176,090万ドルを製造業が占め、そのうち、輸送機器分野の投資額は107,850万ドルだった。輸送機器分野における構成比は完成車が84.5%、自動車部品製造が15.5%。前年はそれぞれ約50%ずつを占めていたが、2022年は完成車が急激に増加した。その他、金融・保険業が4.7%、商業が1.2%の構成比だった。

主要産業別にみると、製造業の投資額が最も大きく1271,110万ドルで前年比9.3%増、構成比は36.0%だった(添付資料表3参照)。このうち、構成比の最も大きい輸送機器は、完成車が72.3%増と2021年の減少分に迫る勢いで増加した一方で、自動車部品製造は前年の好調の反動で61.6%減と大幅に減少した。

2023年に入っても、外国企業の大型投資の発表が相次いでいる。202313日に米国ゼネラルモーターズ(GM)がコアウイラ州ラモスアリスペの工場を電気自動車(EV)生産に集約することを発表した(2023年1月12日記事参照)。また、ドイツ自動車大手BMVグループもサンルイスポトシ州の工場でEV生産および高電圧バッテリー製造のために投資することを発表(2023年2月6日記事参照)しており、2023年は前年よりも多くの投資が行われることが期待されている。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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