丸紅、米国で乳牛の排せつ物由来のバイオメタン生産・販売事業開始

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年03月27日

丸紅は3月23日、米国で再生可能燃料事業の開発を手掛けるグリーン・ロック・エナジー・パートナーズ(本社:ニューヨーク州ニューヨーク)との共同開発会社が運営し、米国において有機廃棄物由来のバイオメタン生産・販売およびバイオガス発電を手掛けるバイオ・タウン・バイオガス(本社:インディアナ州レイノルズ)を通じて、乳牛の排せつ物由来のバイオメタン生産・販売事業を開始したと発表した。

発表によると、本プロジェクトでは、近隣の提携酪農家から約2万3,000頭分の乳牛の排せつ物を収集し、嫌気性消化(注1)を行うことでバイオガスを回収する。回収したバイオガスを精製してバイオメタンを生産し、圧縮天然ガス(CNG)車向けの燃料として使用するという。これまで排せつ物から大気中に放出されていた、環境負荷の高いメタン(注2)の放出を抑制するとともに、本来使用されるはずだった化石燃料由来のCNGの使用量を削減することで、温室効果ガス(GHG)の排出抑制に貢献し、米国の制度における環境クレジットを獲得する予定だ。

丸紅は、本プロジェクトを通じて獲得した知見を活用し、今後も米国内外においてバイオメタン案件をはじめとした再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいく方針だ。

丸紅は米国において脱炭素化に向けた取り組みを進めており、直近では2023年2月に、電気自動車(EV)用リチウムイオン廃電池のリサイクル事業参画に向け、米国サーバへ出資(2023年2月13日記事参照)を発表した。また、3月には、気候変動対策に貢献するため、米国リフト・エアクラフトが開発・製造する空飛ぶクルマの実証飛行実施(2023年3月15日記事参照)を発表した。

(注1)酸素の少ない嫌気性環境下で生育する嫌気性菌の代謝作用により有機物を分解処理し、メタンと二酸化炭素(CO2)の混合ガスであるバイオガスを生産する方法。

(注2)メタンの温室効果は、CO2の約25倍高い。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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