VW、自動車の内装でサステナブル素材の活用を拡大

(ドイツ)

ミュンヘン発

2023年03月01日

ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は2月23日、バッテリー式の小型電気バス「ID.Buzz」で導入しているサステナブル素材を、バッテリー式電気自動車(BEV)のIDシリーズにも活用していくと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

「ID.Buzz」は、2022年からドイツのニーダーザクセン州ハノーバー工場で生産されている。同モデルでは、内装部分に、海洋プラスチックやペットボトルのリサイクル素材を再利用、1台あたり500ミリリットルのペットボトル63本分に該当するという。例えばシート表面には、漁網などの海洋ごみ1割、ペットボトルをリサイクルしたポリエステル糸9割で構成される繊維を使用している。この素材の使用により、従来の素材に比べ、二酸化炭素(CO2)排出量を32%削減できるという。また、「ID.Buzz」の天井(ヘッドライナー)とフロアカーペットの表面は、100%リサイクルされたポリエステルで作られている。このようなサステナブル素材は、従来の素材と同じ見た目、使用感、耐久性を有しているという。さらには、「ID.Buzz」のドア部品(ドアトリム)、計器盤(インストルメントパネル)、ハンドル部品にはクロムを使用しないなど、環境に配慮したものとなっている。

VWは、これらのサステナブル素材を、BEVであるIDシリーズ「ID.3」「ID.4」「ID.5」「ID.7」の内装部分に2023年から活用していく。VWはグループ全体で、2050年までのカーボンニュートラルを目指している。また、製造から廃車までの製品ライフサイクル全体を通したCO2排出量を、2025年までに2015年比で3割減らすことを目標にしている(2022年3月25日記事参照)。サステナブル素材を活用することで、CO2削減への寄与、循環型経済の実現などを目指す。

ドイツ自動車大手は、サステナブル素材や部品の製造、使用という、新しい取り組みを進めている。たとえば、BMWは内装に植物由来の「ビーガンインテリア」を採用、漁具をリサイクルした素材を使ったプラスチックの活用なども目指す(2022年9月20日記事参照)。また、持続可能な素材を活用するためのパイロットプロジェクトを実施するコンソーシアムが発足するなど(2023年2月15日記事参照)、個別企業だけでなく、企業の枠を超えた研究開発なども進む。

(高塚一)

(ドイツ)

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