ifo経済研究所、2023年のドイツ経済はマイナス成長と予測
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年03月22日
ドイツの主要経済研究所の1つ、ifo経済研究所は3月15日、春季経済予測を発表した。
同研究所はドイツの実質GDP成長率について、2023年はマイナス0.1%、2024年は1.7%と予測。2023年は、2022年12月に発表した冬季経済予測(2022年12月22日記事参照)から変わらず、2024年は0.1ポイント上方修正した。なお、2022年の実質GDP成長率は1.8%だった。また、同研究所は、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前期比マイナス0.2%になると予測。これは2022年第4四半期(10~12月)のマイナス0.4%に続くもので、一時的に景気後退に陥ることになる。
ドイツ経済が置かれている状況について、ifo経済研究所は、新型コロナ禍やエネルギー危機による供給面の制約は解消してきた一方、2022年秋以降、徐々にモノ・サービスの需要が弱まっているとした。具体的には、(1)世界経済の停滞による輸出の伸び悩み、(2)購買力の低下と金利上昇による個人消費と建設投資の停滞を挙げた。
消費者物価上昇率について、ifo経済研究所は、2023年は6.2%、2024年は2.2%と予測した。冬季経済予測からそれぞれ0.2ポイント、0.6ポイント引き下げた。今後、消費者物価上昇率は徐々に沈静化して賃金も引き上げられるため(2023年1月5日記事参照)、遅くとも2023年半ばには実質賃金が上昇することになり、内需を下支えするとした。他方、金利上昇などにより、建設投資は引き続き伸び悩むという。
ドイツの他の主要研究機関も、ドイツの経済見通しを相次いで発表している。キール世界経済研究所(IfW)は3月15日、ドイツの実質GDP成長率を2023年は0.5%、2024年は1.4%とした。ハレ経済研究所(IWH、3月14日発表)は2023年を0.4%、2024年を1.9%、ライプニッツ経済研究所(3月16日発表)は2023年を0.2%、2024年を1.8%とした。消費者物価上昇率については、上記の3研究所は2023年を5.4~5.8%、2024年を2.1~3.5%と予測している。
なお、ドイツ連邦政府は2023年1月、年次経済報告書の中で、実質GDP成長率は2023年が0.2%、2024年が1.8%と予測している(2023年1月27日記事参照)。
(高塚一)
(ドイツ)
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