2022年第4四半期成長率は2期連続で鈍化、サービスと個人消費が下支え
(ブラジル)
サンパウロ発
2023年03月08日
ブラジル地理統計院(IBGE)は3月2日、2022年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を発表した。前年同期比1.9%と2期連続鈍化し、前期比(季節調整済み)はマイナス0.2%だった。
前年同期比を産業別にみると、農畜産業が2.9%減、工業が2.6%増、サービス業が3.3%増だった(添付資料表参照)。3月2日付のIBGEプレスリリースによると、工業に分類される「電気・ガス・上下水道・都市清掃」が10.8%増加した理由は、2021年は水力発電に必要な降雨量が不足した一方で、2022年は十分な降雨量があたったとしている。GDPの約6割を占めるサービス業は、「その他サービス」(8.3%増)、「運輸・倉庫・郵便」(5.3%増)、情報サービス(4.9%)、「不動産(賃貸業を含む)」(3.2%)、「金融仲介・保険」(2.4%)、商業(2.1%)と、幅広い分野で伸びがみられた。IBGEのレベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは、中でも「その他サービス」は2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大によって受けた打撃から継続的に回復しており、具体的には飲食、宿泊、レンタカーなどがこれに含まれると述べている。
需要要素別に見ると、GDPの約6割を占める個人消費支出が4.3%増加し、2021年第2四半期(4~6月)以降7期連続の増加となった。パリス国民経済計算コーディネーターは、個人向け融資額の拡大や、改善が見られる労働市場、燃料価格への免税措置、低所得者層向けの現金給付の存在がこれを支えたと説明した(2022年4月1日記事参照、2022年11月9日記事参照)。
2022年通年の実質GDP成長率は前年比2.9%だった。パリス国民経済計算コーディネーターは、GDPに占める産業別で最も割合の大きいサービス業が通年で成長したことが大きく寄与したと総括した。
ただし、3月2日付現地紙「グローボ」では、2021年以降に引き上げられた政策金利の影響により、ブラジル経済の成長が今後も鈍化する可能性があると説明している。2月24日付の中央銀行の週次レポート「フォーカス」によると、2023年の実質GDP成長率は0.84%との見通し。
(古木勇生)
(ブラジル)
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