大統領選の世論調査、ルーラ氏を追ってボルソナーロ氏がやや挽回

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年04月01日

ブラジルの民間調査会社ダッタ・フォーリャは3月25日、大統領選挙(2022年10月2日予定)に関する世論調査結果を発表した(注1)。最も支持率が高かったのは、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ氏〔労働者党(PT)〕で43%。同氏は2003年1月~2006年12月、2007年1月~2010年12月の2期にわたり大統領を務めた経験がある。次いで、現職の大統領ジャイール・ボルソナーロ氏〔自由党(PL)〕が26%、セルジオ・モーロ氏〔ポデモス(PODEMOS)〕が8%で、1位と2位、2位と3位の間は大きく差が開いている。白票・無効票は6%、「分からない」との回答は2%だった(注2)。

この結果を受けて3月24日付現地紙「フォーリャ」は「ボルソナーロ氏がルーラ氏をやや追い上げたことが読み取れる」と分析した。なお、前回調査(注3)以降、現上院議長のロドリゴ・パシェコ氏〔社会民主党(PSD)〕など複数の人物が立候補取りやめの意向を示したため、前回調査と単純比較することは難しいと同紙は補足している。

世論調査では、ルーラ氏とボルソナーロ氏による決選投票を行うシナリオについても聞いており、前回調査ではルーラ氏の支持率が59%、ボルソナーロ氏は30%だったが、今回の調査ではルーラ氏が55%、ボルソナーロ氏が34%で、差は前回より8ポイント縮まっている。

3月24日付現地紙「コヘイオ・ブラジレエンセ」によると、ボルソナーロ氏がやや追い上げたことについて、低所得者層向けの新たな現金給付策「アウシリオ・ブラジル」(注4)の存在が影響したとしながらも、国内でも懸念されている燃料や食品価格の上昇がボルソナーロ氏にとって逆風になっていると分析している。

(注1)調査期間は3月22、23日。16歳以上の2,556人の回答結果に基づく。示された立候補予定者の中から「誰に投票するか」という意向を調査した結果を支持率として記載している。世論調査では、現サンパウロ州知事のジョアン・ドリア氏を候補者に含む場合と、そうでない場合のシナリオがあり、本記事では前者で記載。調査結果の原文PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)はこちら(ポルトガル語のみ)。

(注2)ブラジルの大統領選挙は4年に1度(前回は2018年実施)。第1回投票で最多得票者の票数が過半数に達しない場合、10月30日に上位2人による決選投票が行われる。

(注3)調査期間は2021年12月13~16日。

(注4)低所得者向け現金給付プログラム「ボルサ・ファミリア」の後継としてボルソナーロ政権下で始まったプログラム。2021年12月29日付政令10.919号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにより、2022年12月まで継続することが決まっており、例えば、2022年1月には約1,757万の家庭がそれぞれ少なくとも400レアル(約1万400円、1レアル=約26円)を受け取る対象となっていた。

(古木勇生)

(ブラジル)

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