国家データ局、国家金融監督管理総局を設立、重点分野に人員を集中

(中国)

北京発

2023年03月10日

3月5日から開催されている中国の第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議(注1)で、国務院(内閣)の組織再編が提議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。データ、金融、科学技術、農村振興、知的財産権、高齢者関連業務などの分野が対象となっている(添付資料表参照)。

データ分野では、新たに国家データ局を設立する。同局は国家発展改革委員会が管理し、中央ネットワークセキュリティー・情報化委員会からデジタル中国建設プラン策定(2023年3月7日記事参照)、公共サービスと社会ガバナンスの情報化推進、スマートシティー建設の推進、情報リソースの業界・部門をまたいだ共有・運用などの業務が移管される。

また、国家発展改革委員会からデジタルエコノミー発展に向けた調整や、国家ビッグデータ戦略の実施、データ要素基本制度の構築、デジタルインフラ配置などの業務が移管される。

アリババグループ技術委員会の王堅主席は「これまでデータ資源の管理は複数の政府部門に分散していた上、各地方政府のビッグデータ関連部局も中央政府による統合に欠けていた。国家データ局の設立は、データ産業に関する計画や管理政策の制定、データ資源の共有や障壁の打破などに重要な意義を持つ」としている(「中国青年報」3月9日)。

金融分野では、国家金融監督管理総局を設立し、証券業を除く金融業の監督・管理を行う。中国銀行保険監督管理委員会は廃止する。

同局は国務院直属機関として、中国銀行保険監督管理委員会の業務を引き継ぐ。また、中国人民銀行(中央銀行)から、金融持ち株会社などの金融グループに対する監督・管理と消費者保護業務を、中国証券監督管理委員会から投資者保護業務を移管する。

その他、中国証券監督管理委員会を国務院の直属機関に変更する。中国人民銀行は支店ネットワークを再編し、31の省・市・自治区に省レベル支店、計画単列都市(注2)の広東省深セン市、遼寧省大連市、浙江省寧波市、山東省青島市、福建省アモイ市にも支店を設立する。

国家金融監督管理総局の設立により、幅広い分野を管轄し、かつ複数の組織による重複が避けられるため、監督・管理効率が向上するとの見方がある(「北京日報」3月8日)。

また、中央政府の各部門は一律で定員を5%削減する。削減した定員は重点分野や重要業務に割り当てるとしていることから、「絶対量の削減ではなく、部門間の配置の最適化」とする意見がある(「紅星新聞」3月8日)。

(注1)詳細は2023年3月7日記事参照

(注2)財政面で省政府を経由せず、中央政府の管理を直接受けるなど、通常の市とは異なる権限を有する。

(河野円洋)

(中国)

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