GMシラオ工場の賃金改定が10%で合意、初の2桁引き上げ

(メキシコ)

メキシコ発

2023年03月20日

メキシコの自動車産業全国独立労働組合(SINTTIA)は313日、米国ゼネラルモーターズ(GM)のグアナファト州シラオ工場において、2023年の労働者の賃金を10%引き上げることに合意したと発表した。同工場では、現在6,383人が勤務しており、そのうち5,490人強が労働組合に加入している。今回合意された賃上げ幅は、前年の8.5%の引き上げを上回るもので、協定によると325日から適用される(「エクスパンシオン」紙313日)。

GMシラオ工場では、労働協約の適法化(注)関して疑義があるとし、20215月に米国通商代表部(USTR)が、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)が定める「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」に基づき、メキシコに政府に対して本件の事実確認を要請した。同年8月に再度投票が行われ、以前の労働組合であるミゲル・トゥルヒージョ・ロペス労働組合との協約は否決された(2021年8月30日記事参照)。20222月にGMシラオ工場の労働組合を決める投票が行われ、SINTTIAが、長年同工場の労働組合だったミゲル・トゥルヒージョ・ロペス労働組合を大差で下した経緯がある(「フォーブスメキシコ」紙313日)。

SINTTIAは「長年達成できていなかった2桁の壁を破り、労働者の購買力を回復させる歴史的な成果だ」と述べた。また、自動車産業における直近の賃金協定では、アウディが9.4%、フォルクスワーゲンが9%、日産自動車が9%(「エル・エコノミスタ」紙313日)とインフレ率を超えた上昇率で合意しており、今後の労働組合との交渉において参考指標となる可能性がある。

(注)適法化とは、労働協約の内容を労働者に開示した上で、過半数以上の労働者の賛成を経て再承認するプロセスで、201951日付官報で公布された連邦労働法の改正で盛り込まれた(2019年8月5日記事参照)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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