オーストラリア・インド首脳会談、インド太平洋地域の協力と再エネ投資の重要性確認

(オーストラリア、インド)

シドニー発

2023年03月22日

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相は310日、インドのニューデリーで、ナレンドラ・モディ首相との首脳会談を行った。両首脳は20206月に設立した「包括的戦略的パートナーシップ(CSP)」(2020年6月12日記事参照)の下で進化した両国関係を再確認し、経済やエネルギー、地域協力など幅広い分野の協力をうたった共同声明を発表した。主な経済関係の議題は以下のとおり。

経済分野では、両国間の経済協力・貿易協定(ECTA2022年12月7日記事参照)が202212月に発効したことを歓迎するとともに、包括的経済協力協定(CECA)について可能な限りの早期締結を目指す意向を明らかにした。また、長年の懸案事項となっていた、両国間の租税条約(DTAA)の下で在インド企業がオーストラリアの顧客にITサービスを提供して得た収入が両国で二重課税される問題点が解決したことに言及した。インド太平洋経済枠組み(IPEF)や、日本とオーストラリア、インドのサプライチェーン強靭(きょうじん)化イニシアチブ(SCRI)を通じた地域協力強化の取組みを歓迎した。さらに、両国首脳は重要鉱物のサプライチェーン構築に向けた双方のコミットメントをあらためて表明した。

エネルギー分野については、政府間で太陽光発電技術やサプライチェーン強化の推進を加速するための共同タスクフォース立ち上げや、水素タスクフォース設立の提案があったことにも言及した。また、送電網に関するインフラや再生可能エネルギー技術の全領域(大規模発電、貯蔵、グリーン水素、重要鉱物・蓄電池サプライチェーンへの投資と研究開発)で双方向の投資機会の重要性を強調した。両国の再生可能エネルギーパートナーシップでの2国間協力を一段と進めていくことに合意した。

地域協力では、両首脳はインド太平洋の経済的繁栄や安定を支援し、日米を加えたクアッド(QUAD)を通じた協力を強化していくとのコミットメントをあらためて表明した。ASEANについては、東アジア首脳会議(EAS)を通じて緊密に協力し、ASEAN地域やASEANの取り組みへ積極的に関わっていくことを再確認した。さらに、太平洋島しょ国のニーズや優先課題に沿いつつ、太平洋地域での協力強化を誓い、地域課題を解決する上で太平洋諸島フォーラム(PIF)と「ブルーパシフィック大陸の2050戦略」(2022年7月13日記事参照)の重要性を再確認した。

今回のアルバニージー首相のインド訪問には、ドン・ファレル貿易・観光相、マデレイン・キング資源・豪北部担当相、ビジネスデリゲーションが同行した。39日にムンバイで開催された両国CEO(最高経営責任者)フォーラムでは、両国の経済団体のビジネス・カウンシル・オーストラリア(BCA)とインド工業連盟(CII)が貿易投資に関する協力覚書(MOU)を締結した。

(青島春枝)

(オーストラリア、インド)

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