2022年の製造業の外国投資認可額は過去2番目の高水準

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年03月23日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は3月8日、2022年の国内投資も含む投資認可総額が、前年比14.5%減の2,646億2,530万リンギ(約7兆9,387億5,900万円、1リンギ=約30円)だったと発表した。うち、サービス業が58.2%、製造業が31.9%を占めた。

ジェトロが3月14日に別途MIDAから入手したデータによると、2022年の製造業における外国からの投資認可額は、前年比63.2%減の660億2,131万リンギだった。2021年の大型投資案件(2021年10月1日記事参照)よる反動減が減少の背景にある。ただし、長期の時系列でみると、2022年の製造業投資は、統計がさかのぼれる1986年以来2番目の水準で、新型コロナ禍前を上回った(添付資料図参照)。

電気・電子分野の投資が引き続き最大

業種別にみると、電気・電子製品が、前述の反動減により前年比81.0%減の278億5,310万リンギとなったが、全体の4割強を占めた(添付資料表1参照)。MIDAによると、主要投資国・地域はドイツ、オランダで、主にウエハ製造、半導体デバイス、集積回路、プリント回路基板やセンサーなどに関する案件が多かった。次いで、輸送機器が5.5倍の66億266万リンギ、化学・同製品が64.4%増の57億2,493万リンギなどと、電気・電子製品産業以外の業種はいずれも前年から大幅に増加した。

国・地域別では、シンガポールが96億995万リンギ(83件、前年比79.4%減)で首位だった(添付資料表2参照)。大型案件として、鋼管メーカーのイースチールがサバ州で環境配慮型の製鉄所を建設する案件が報じられた。次いで中国が、95億5,494万リンギ(46件、42.5%減)だった。代表的な投資案件として、米国企業との合併会社であるTF-AMDマイクロエレクトロニクスによる追加投資やリチウム電池製造大手EVEエナジーによるリチウム電池工場の建設案件が報じられた。そして、日本が91億8,465万リンギ(35件、21.9%増)、オランダが87億8,422万リンギ(11件、88.3%減)、ドイツが87億7,519万リンギ(13件、10.7倍)と続いた。

日本による製造業投資認可案件の内訳をみると、化学・同製品が39億9,274万リンギ(6件、前年は実績なし)で首位だった。東洋インキグループによるラミネート接着剤の生産設備の拡張案件(2023年1月4日記事参照)が代表的な投資案件として挙げられる。次いで、非金属鉱物が22億9,700万リンギ(2件、前年は実績なし)、電気・電子製品が18億892万リンギ(10件、前年比66.7%減)と続いた(添付資料表3参照)。2022年10~12月の主な投資案件として、電子部品のKOA DENKOによるマラッカ州での工場新設案件が報じられた。

持続可能な投資に重点

テンク・ザフルル国際貿易産業省(MITI)大臣は3月8日の記者会見で、研究開発および持続可能な投資、特にマレーシア中小企業に裨益するグリーン投資を呼び込みたいと強調した。2023年の投資見通しについては、世界経済の成長鈍化が投資判断に影響を与える可能性があるものの、MITIが各国に派遣している貿易投資ミッションに加え、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)の発効などが、投資家の信頼を高めると付け加えた(「ザ・エッジ」紙2023年3月8日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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