グジャラート州、2023年度予算案で工業・鉱業省の管轄予算が22%増に

(インド)

アーメダバード発

2023年03月10日

インド人民党(BJP)が大勝した2022年12月のグジャラート(GJ)州議会選挙を受けて、2023年2月23日に開会した予算議会の冒頭で、アチャルヤ・デバラット州知事は「GJ州は過去20年間、あらゆるセクターの社会経済的向上に尽力し、国家の『成長エンジン』となり、モデル州として認知された」と演説した(「ビジネス・スタンダード」紙2月23日)。2月24日に発表された新体制初の2023/2024年度(2023年4月~2024年3月)予算案の中で、工業・鉱業省管轄の関連予算として、総額858億9,000万ルピー(約1,417億2,000万円、1ルピー=約1.65円)の予算が盛り込まれ、対前年度比22%の大幅増となっている。

予算案によると、GJ州内のGDPにおいて、製造業が最大のシェアを占め、繊維、化学、製薬、セラミック、ダイヤモンドなどの産業分野が主要な地位を占めている。また近年、同州政府は燃料電池、蓄電池、電気自動車(EV)、宇宙・航空分野、グリーン水素、グリーンアンモニアなど、新時代の産業領域への投資を試み、包括的なエコシステムの構築に取り組んでいるとしている。工業・鉱業部門に関する重要項目は以下のとおり。

  1. 州の繊維政策のもと、繊維産業を促進する(158億ルピー)。
  2. 製造業を支える基幹産業である中小零細企業(MSMEs)に、さまざまな種類のインセンティブを提供する(150億ルピー)。
  3. 大企業による州内投資を奨励する(88億ルピー)。
  4. 工業団地のインフラ整備、排水処理用の深海パイプラインの敷設(47億ルピー)。
  5. 物流コスト削減、ラストワンマイル鉄道接続、物流施設開発のため西部ラファルシュワールとベディ周辺の港湾ターミナル建設(23億7,000万ルピー)。
  6. ドレラ特別投資地域(SIR、2022年10月12日付地域・分析レポート参照)、マンダル-ベチャラジSIR、グジャラート石油化学SIRの3カ所の特別投資地域に世界クラスの産業インフラ施設を構築(18億8,000万ルピー)。
  7. 「自立したインド」というモディ首相の政策を実現するため(2020年5月14日記事参照)、中央政府からの100億ルピーの資金援助を受け、中部ジャンブサールにバルク薬品工業団地を建設(10億ルピー)。
  8. 少数部族地域に農産品加工、水産品加工など8つのGIDC工業団地を建設(2億3,000万ルピー)。
  9. 州内のMSMEsによる後払い決済の事案に対し、決定プロセスを迅速かつ効果的に行うために、5つの協議会を追加設立する(1,000万ルピー)。

そのほか、同予算案では「観光産業の開発・振興、巡礼地開発、空港の建設」や、「『一地区一産品政策』のもと、GIタグを取得した地域の伝統工芸品の販売促進」などに予算措置がされている。有望な観光資源を生かしたツーリズム産業に着目し、大きく約207億ルピーの予算を振り向け、裾野への波及効果を期待するとともに、MSMEsの振興による地域レベルでの雇用創出にも配慮したことがうかがえる。

(古川毅彦)

(インド)

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