台湾、2023年の成長率予測値を下方修正、民間投資と外需が下押し要因に

(台湾)

中国北アジア課

2023年03月07日

台湾の行政院主計総処(以下、主計総処)は2月22日、2022年第4四半期の実質GDP成長率を前年同期比マイナス0.41%、2022年通年の成長率を2.45%と発表した(いずれも速報値、添付資料図参照)。2010年(10.25%)以来の高成長率を記録した2021年(6.53%)から大幅に減速した。

2022年通年の成長率について需要項目別の寄与度をみると、内需は3.17ポイントと前年から1.35ポイント低下した(添付資料表参照)。新型コロナウイルスの防疫措置緩和に伴い消費活動が正常化してきたことなどから、民間消費が1.60ポイントと前年(マイナス0.17ポイント)からプラスに回復した一方、民間投資が1.40ポイントと前年(3.73ポイント)から大きく低下した。このほか、在庫変動もマイナス0.52ポイントと前年(0.68ポイント)からマイナスに転じ、足かせとなった。また、外需も2021年第3四半期以降低迷が続き、2022年通年でマイナス0.72(前年2.01ポイント)と下押し要因になった。

2023年はさらなる成長鈍化を予測

主計総処は、2023年通年の実質GDP成長率の予測値を2.12%と発表した。2022年11月時点の予測値から0.63ポイント下方修正した。寄与度は内需が2.47ポイント、うち民間消費は2.39ポイント、民間投資はマイナス0.26ポイントを予測。外需はマイナス0.36ポイントとした。民間消費については、新型コロナウイルスの防疫措置の継続的な緩和を受け、域内の経済活動および消費が正常化する中で、労働市場の改善継続などが消費の下支えとなるとの見方を示した。民間投資については、半導体工場の先端設備や、洋上風力および太陽光発電などの設備への投資、域内投資支援策〔投資台湾三大方案(2019年12月25日付地域・分析レポート参照)〕を受けた台湾企業による投資の継続に加え、海外旅行需要の回復による航空機購入などが牽引役となると指摘。一方で、世界経済の不確実性の高さを受けた企業の投資に対する様子見姿勢や、前年の基数の高さをマイナス要因に挙げた。外需については、主要国・地域における金融引き締め政策の継続などの影響を受けた末端需要の低迷、製品価格の下落、在庫調整の継続などが輸出の下押し圧力になると指摘した。

(小林伶)

(台湾)

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