米成人の16%が預金を移動したと回答、相次ぐ米銀の経営破綻を受け、世論調査

(米国)

米州課

2023年03月23日

米国世論調査によると、米国のシリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻などを受けて(2023年3月13日3月14日記事参照3月17日記事参照)、米国成人の16%が預金を自身の取引銀行から移動したことがわかった。

調査会社モーニング・コンサルトは3月22日、銀行の経営破綻などに関する世論調査結果(注1)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによれば、一連の銀行の経営破綻を受けて「全ての預金を移動した」と10%が回答し、「少なくともいくらかの預金を移動した」と6%が回答した。そのうち、預金の移動先は、「国法銀行(national bank)」と回答したのが36%、「コミュニティ銀行」が24%、「地域の銀行(regional bank)」が22%、「現金化」が22%、「デジタル銀行」が21%、「信用組合」が18%などだった。

預金を移動したと回答した人のうちで、年代別では、ミレニアル世代(注2)が最も多く58%だった。人種別では、白人(42%)、ヒスパニック(37%)が多い。年収別では、年収5万~9万9,000ドル(40%)、年収10万ドル以上(31%)、地域別では、南部(44%)、西部(30%)が多かった。

経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブが3月22日に発表した世論調査PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(注3)によれば、SVBの経営破綻において、「銀行経営幹部の意思決定の甘さ」に責任があると回答した割合は78%だった。「預金者のパニックから急激な預金引き出しを招いた」ことに対しては、69%が責任あると回答した。また、「政府の規制・監督の欠如」にも、65%が責任あると回答した。

連邦政府が保護する預金額は、1口座当たり25万ドルが上限だが、今般の銀行破綻を受け、預金は全額保護することが決定されている。これについては、53%が「支持する」(「強く支持する」25%、「いくらか支持する」28%)と回答した。連邦政府のこの決定について、「公平である」と44%が回答し、「公平でない」と31%が回答した。ジョー・バイデン大統領は預金保護について、銀行が預金保険基金に支払う手数料を原資とし納税者の負担はないと強調しているが、世論調査では費用の大半を負担する者について、「銀行」(26%)よりも「納税者」(53%)とする見方が強かった。

(注1)実施時期は2023年3月16~17日、対象者は全米の成人2,179人。

(注2)一般的に、1980~2000年生まれ。

(注3)実施時期は2023年3月19~21日、対象者は全米の成人1,500人。

(松岡智恵子)

(米国)

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