在シンガポール日系企業の過半数、在宅勤務を継続

(シンガポール、日本)

シンガポール発

2023年03月09日

 シンガポール日本商工会議所(JCCI)とジェトロによるアンケート調査(調査期間:22128日)によると、シンガポール政府が新型コロナウイルス感染防止対策をほぼ撤廃した213日以降も、在宅勤務を完全、または部分的に継続すると回答した日系企業の駐在員の割合は62%だった。また、在宅勤務を完全・部分的に継続している現地スタッフの割合は70%だった。同調査はJCCIがジェトロの協力を得て実施した。JCCI775法人・個人会員を対象に行い、145法人・個人会員から有効回答があった。

同国では213日から国内外で新型コロナウイルス感染状況が一段と沈静化したのを受けて、残っていた感染防止策がほぼ全て撤廃された(2023年2月15日記事参照)。調査によると、同日以降に駐在員の平均出勤率としてルール上で100%としている割合は31%、「7599%」が25%、「5074%」が22%、「2549%」が12%、「25%未満」が10%だった。一方、地元スタッフのルール上の平均出勤率として100%としている割合は29%、「7599%」が28%、「5074%」が19%、「2549%」が17%、「25%未満」が8%だった。

在宅勤務のメリットとして、回答企業からは「スタッフの退職防止に効果がある」との声や、「新規採用条件に在宅を入れなければ採用に支障を来す」との指摘があった。また「在宅・オフィスのハイブリッド型で、業務の生産性や品質の低下はない」といった意見のほか、「オフィスや会議室スペースが最小限で済む」をメリットとして挙げる声もあった。一方、在宅勤務の課題として、「コミュニケーション」と「勤怠管理」「社員の評価」の難しさを懸念する声が複数あったほか、「会社への帰属意識が低下するリスク」を指摘する意見もあった。

在宅勤務を認めている日系企業で、そのことを就業規則やガイドラインなどに明記している企業の割合は44%だった。人材省、全国労働者組合会議(NTUC)、シンガポール国家雇用者連合(SNEF)の政労使パートナーは2022422日、雇用主に対して今後も継続的に在宅勤務と出社の柔軟な勤務を認め、恒久的なものにするよう提言する声明を発表した。政労使パートナーは2024年までに柔軟な勤務体系に関するガイドラインを発表する方針だ(2022年9月8日付地域・分析レポート参照)。

(本田智津絵)

(シンガポール、日本)

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