米国内で中国と台湾の緊張状態への懸念が高まる、シンクタンク調査
(米国)
米州課
2023年03月31日
米国では中国と台湾の緊張を懸念する割合が高まっていることが、米国シンクタンク調査からわかった。
シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは3月29日、米国民の中国と台湾の関係への認識に関する調査結果(注)を発表した。それによれば、中国と台湾の緊張が米国にとって深刻な問題とみる割合は47%と半数近くに達した。この割合は、2022年10月調査時から4ポイント、2021年2月調査時から19ポイント上昇した。支持政党別では、共和党支持者は52%と民主党支持者(45%)よりも中国と台湾の緊張を懸念する傾向が強い。共和党支持者の中でも、保守派は61%と穏健あるいはリベラル派(38%)よりも深刻に捉える傾向が強かった。
台湾を好意的にみる割合は66%を占め、性別では、男性が73%と女性(58%)より高かった。年代別では、65歳以上が72%と最も高く、学歴でみると、大卒者が76%、大学院卒が79%と高学歴者が好意的にみる傾向が強かった。支持政党別では、民主党支持者(70%)の方が共和党支持者(64%)よりも高かった。
2022年10月に当時のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問(2022年8月3日記事参照)した直後には、ピュー・リサーチ・センターの調査では、「中国との2国間関係を損なうとしても、米国はハイレベルの政治家を台湾に派遣し続けるべき」と54%が回答していた。「中国との関係を優先させるべき」との回答は38%だった。
最近の米国の世論調査でも、56%が「中国が5年以内に台湾に侵攻する可能性が高い」と回答し、中ロ首脳会談(2023年3月29日記事参照)や中国の外交政策への強い懸念を示すなど(2023年3月31日記事参照)、中国への警戒心が高まっている。
(注)実施時期は2023年3月20~26日、対象者は全米の成人3,576人。台湾の蔡英文総統は3月21日に米国訪問を発表し、29日に米国に到着。米国では、ケビン・マッカーシー下院議長と面談する予定。
(松岡智恵子)
(米国)
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