習国家主席がプーチン大統領と会談、両国のつながりを強調

(中国、ロシア)

北京発

2023年03月29日

中国の習近平国家主席は3月20~22日にロシアを訪問し、21日にウラジーミル・プーチン大統領と会談を行った(ロシア側の発表は2023年3月23日記事参照)。会談で、習国家主席は「国際情勢がいかに変わろうとも、中国とロシアの新時代の全面的戦略協力パートナーシップの推進に力を尽くす」と両国のつながりを強調した。

会談後の記者会見で習国家主席は、中ロの関係は2国間関係の範囲を超え、世界情勢と人類の前途と運命にとって極めて重要なものになったと評価した。

また、双方は、エネルギー、資源、機械・電機製品の貿易、産業チェーン・サプライチェーンのレジリエンス強化といった分野のほか、情報テクノロジー、デジタルエコノミー、農業、サービス貿易などでの協力に同意したとされる。

会談終了後には、(1)「新時代の全面的戦略協力パートナーシップの深化に関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」と、それに基づいた2030年までの経済面での具体的協力内容を示した(2)「2030年までの中国・ロシア経済協力の重要方針発展計画に関する共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に署名した。

(1)では、ガス、石炭、電力、原子力エネルギー分野での協力推進や、エネルギー製品のサプライチェーン安定が盛り込まれたほか、農産品・食糧貿易の多様化と拡大が約束された。また、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)、デジタルエコノミー、低炭素排出などで新たな協力モデルを探るとされた。

核兵器の使用回避についても同意した。その上で、米国、英国、オーストラリアの安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に懸念を表明し、日本の東京電力福島第一原子力発電所からの処理水排出についても、近隣諸国や国際機関と透明かつ十分な協議を行うべきとした。

また、ロシアは、中国のウクライナ危機に関する立場(2023年2月28日記事参照)を評価し、解決に向けた政治的・外交的ルートでの役割発揮を歓迎するとした。その上で双方は、各国の合理的な安全保障に対する懸念を尊重し陣営対立を防ぐべきだとして、一方的な制裁の停止を呼びかけた。

(2)では、貿易の拡大や物流の相互連結のほか、金融分野での協力では貿易、投資、ローンなどで現地通貨決済比率を高めることが盛り込まれた。

なお、習国家主席は3月20日付の人民日報に「意気盛んに前進し、中国・ロシアの友好協力と共同発展の新章を開く」と題した文章を発表し、両国関係強化の意気込みを述べている。

(河野円洋)

(中国、ロシア)

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