米2月雇用者数31.1万人増、失業率3.6%に上昇、時給の伸びは前月比で鈍化

(米国)

ニューヨーク発

2023年03月13日

米国労働省が3月10日に発表した2月の非農業部門雇用者数は前月から31万1,000人増PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)と、市場予想の22万5,000人増を上回った。就業者数が前月から17万7,000人増加し、失業者数が前月から24万2,000人増加した結果、失業率は前月から0.2ポイント上昇の3.6%(市場予想は3.4%)だった(添付資料図参照)。

失業者のうち、一時解雇の失業者は前月より8万2,000人増の81万6,000人、恒常的失業者は前月より12万3,000人増の138万人だった。

労働参加率(注)は、生産年齢人口が前月から15万人増の2億6,611万人、労働力人口が前月から41万9,000人増の1億6,625万人となった結果、前月から0.1ポイント上昇の62.5%だった。 これは2020年3月に記録した62.6%以降で、最も高い数値になった。

平均時給は33.09ドル(前月:33.01ドル)で、前月比0.2%増(前月:0.3%増)、前年同月比4.6%増(前月:4.4%増)と前年同月比で加速し、前月比では鈍化した(添付資料表1参照)。

2月の雇用者数の前月差31万1,000人増の内訳をみると、民間部門は26万5,000人増で、うち財部門が2万人増、主な業種として、建設業は2万4,000人増だったが、製造業は4,000人減少した。サービス部門は24万5,000人増で、うち娯楽接客業が10万5,000人増、教育・医療サービス業7万4,000人増、対事業所サービス業4万5,000人増など、前月よりも増加幅は縮小したものの、幅広い業種で増加した。ただし、小売業は5万人増で増加幅が前月から拡大し、逆に運輸・倉庫業は2万2,000人減だった。なお、政府部門は4万6,000人増となった。(添付資料表2参照)。

2月の人種別失業率は、白人3.2%(前月:3.1%)、アジア系3.4%(2.8%)、ヒスパニック・ラテン系5.3%(4.5%)、黒人5.7%(5.4%)だった。

米国調査会社のチャレンジャーによると、米国企業の2月の人員削減は約7万8,000人と前年同月比5.1倍、そのうちテック企業では約2万1,000人削減で最多となっており、2月雇用統計をみても、情報業は2万5,000人減と最も大きく減少している。しかし、娯楽・接客業など他の分野での雇用増がこれを上回り、マクロでみると、雇用は堅調というのが全体の姿だ。強すぎる雇用は賃金の急上昇につながり、インフレ抑制の観点からはマイナスだが、2月の雇用統計は労働参加率が微増、失業率が上昇する中で、時給の伸びは前月比で鈍化しており、明るい傾向もみられる。

連邦準備制度理事会(FRB)は、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利引き上げ幅を0.25%に縮小したが(2023年2月2日記事参照)、その後に予想よりも上振れした1月の物価などを踏まえ(2023年2月15日記事参照)、ジェローム・パウエルFRB議長は議会証言の中で、データ次第で利上げペースを今後早める準備があるとして、金利引き上げ幅を再び拡大する可能性を示唆した(ロイター3月8日)。次回FOMCは3月21、22日に開催される。3月14日には2月分の消費者物価が公表されるため、このデータの結果次第で、次回の政策金利引き上げ幅が左右されることになりそうだ。

(注)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(宮野慶太)

(米国)

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