カナダ政府、主要調達での温室効果ガス排出量開示と削減目標設定を要件化、4月1日から

(カナダ)

米州課

2023年03月02日

カナダのモナ・フォルティエ予算庁長官とスティーブン・ギルボ環境・気候変動相は2月28日、4月1日以降、カナダ政府の主要サプライヤーに対し、温室効果ガス(GHG)排出量の開示と削減目標の設定を求めると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

新基準を定めた「GHG排出量の開示と削減目標の設定に関する予算庁基準」によると、2,500万カナダ・ドル(約25億円、Cドル、1Cドル=約100円)以上の連邦政府調達案件で当該要件が適用される。サプライヤー側はカナダ政府のプログラム「ネットゼロチャレンジ」(注)や、国際的に承認された機能的に同等の規格や枠組みへの参加を通じて、この要件を満たすことができる。

さらに、建築における炭素の予算庁新基準では、全ての主要な政府建設プロジェクトについて炭素排出量の報告と削減が求められ、まずはコンクリートから適用がスタートするという。具体的には、対象プロジェクトは、より低炭素のコンクリートを使用し、そのプロジェクトのコンクリートに関連するGHG排出量の合計が地域平均値を10%以上下回るよう対応が求められる。ニュースリリースでは「連邦政府調達でのバイ・クリーン戦略の実施に向けた重要な一歩となる」としている。

また、ニュースリリースでは「ネットゼロチャレンジ」では2022年8月の開始以来、マイクロソフト・カナダ、エーコン・グループ、3Mカナダ、コジェコなど参加企業が増えており、現在、40社以上に上ることも発表された。

当面は企業を対象としていた「ネットゼロチャレンジ」だが、今後は経済のあらゆる部分がネットゼロに向かうよう、企業のみならず、公共団体や地方自治体も対象に拡張してゆくとしている。

新基準について、フォルティエ予算庁長官は「2050年までにGHG排出ネットゼロを達成するという政府計画の一部だ。このアプローチは、より環境に優しい政府運営を保証するだけでなく、カナダが国としての目標を達成するのにも役立つ。政府が気候変動対策に継続的に取り組み、グリーン経済への移行を主導することは、カナダのGHG排出量削減で成功するためのカギとなる」と述べた。また、ギルボ環境・気候変動相は「気候変動対策だけでなく、イノベーションを促進し、長期的な持続可能性を確実なものとするために、自社の事業をネットゼロ化することを目指す企業がますます増えてきている。グリーン要件をカナダ政府の契約に盛り込むことで、より多くの企業がネットゼロの目標に賛同してくれるようになるだろう」と述べた。

(注)カナダ政府が2022年8月末に立ち上げた、カナダで事業を行う企業のための全国的なGHG排出削減促進に向けた連邦レベルの新しい取り組み。参加する企業は2050年までに自社施設とその運営をGHGネットゼロ排出へ移行する計画を策定した上で実施をコミットし、参加後も年次進捗レポートの提出や、5年ごとの計画書の更新などが求められる(2022年9月1日記事参照)。

(高山さわ)

(カナダ)

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