1~2月の海港貨物取扱量は2.6%増、北極海航路開発で中国と協力へ

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2023年03月23日

ロシア商業海港協会の発表(3月13日)によると、2023年1~2月のロシア海港の貨物取扱量は前年同期比2.6%増の1億4,030万トンだった(添付資料表参照)。ロシア政府は、アジア太平洋諸国やロシアへの経済制裁に加担しない「友好国」とのアクセス拡大に北極海航路を活用する方針を明らかにするとともに、中国との航路開発に乗り出した。

品目別でみると、石炭(前年同期比9.4%増)、穀物(1.8倍)、鉱物質肥料(29.6%増)が大きく伸びた。石油製品(9.2%減)、液化ガス(6.2%減)が減少した。石油製品については、対ロシア制裁として、米国、EU、英国が2月5日から(2022年9月13日記事2022年12月6日記事2022年12月6日記事参照)、日本が同6日から、設定した上限価格を超えるロシア産石油製品の取引禁止措置を導入した。EUは2月5日からロシア産石油製品の域内への輸入も禁止した。

海港所在海域別では、低迷が続いていたバルト海域が、ウスチ・ルーガ港、プリモルスク港での石油製品の取り扱い増により、前年同期比3.5%増となった。先述の制裁導入日より前に出荷された分は制裁の対象外となるため、駆け込み出荷が行われたとみられている(「ベドモスチ」3月14日)。

北極海域は前年同期比3.0%減となったが、北極海を通じた物流について、アレクサンドル・ノワク副首相は3月15日に行われた北極海航路発展に関する会議の場で、欧州市場からアジア太平洋諸国や友好国への輸出に転換するため同航路が特に重要になると述べた。2月には、北極圏における国家政策文書が改定され、「北極評議会」(注)など欧米諸国との協力の枠組みに関する記述が削除された。プーチン大統領は、訪ロした中国の習近平国家主席と3月21日に行われた首脳会談において、「北極海航路開発での中国との協力は有望だ。共同で作業組織を創設する用意がある」と表明した。

2月単月のロシア海港の貨物取扱量は、前年同月比2.5%減の6,546万トンとなった。アゾフ・黒海域の港湾が暴風雨のため積み替え業務を停止したことで、同海域での取扱量が15%減少したことが響いた(「インフラ・ニュース」3月13日)。

(注)北極圏に位置するロシア、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、米国が加盟する組織。日本や中国など13カ国がオブザーバーとして参加している。2022年3月、ロシア以外の加盟7カ国は共同で、北極評議会の会合への参加を一時的に停止するという声明を発表した。

(浅元薫哉)

(ロシア)

ビジネス短信 1767fd359a875410