雇用パス取得に際し労働局の事前承認が必要に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年03月29日

マレーシアで駐在員の雇用パスを取得する際に、3月から追加の手続きが課されるようになった。2023年1月に施行された改正雇用法PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)2022年8月31日記事参照)の第60K条は、外国人従業員を雇用する場合、雇用主は事前に労働局長の承認を得る必要があると規定している。事前承認を得ずに外国人従業員を雇用した場合、罰金が科される可能性がある。改正雇用法が指す「外国人従業員」には、駐在員も含まれる。

具体的な手続きに関して、3月1日に労働局が出した通知PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(マレー語のみ)によると、雇用主が新たに駐在員を雇用する場合、専用ウェブサイト(EPPAX外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)経由で労働局に申請を行う。労働局が申請を受け、雇用主宛てに承認結果を送付した後、通常どおり出入国管理局のシステム(ESD Online)を通じたビザ申請へ進む(労働局によるビザ申請のフロー解説図PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)1ページ目、マレー語のみ)。ただし、労働局の承認にどの程度の期間を要するかは、現時点では定かでない。

3月27日時点で、出入国管理局駐在員サービス部門(ESD)からはこの件に関する通知は出ていないものの、労働局による上記承認書の提出をESDから求められるケースが3月半ば以降散見されつつある。改正雇用法で事前承認が明示的に義務付けられた一方、ESDの現場レベルにまで手続きが周知されておらず、担当官の対応にばらつきがある状況だ。

改正雇用法の第60KA条に基づき、雇用パスを取り消す際にも報告が必要だ。この場合、契約終了日から30日以内に、同様にEPPAX経由で通知を行う。

雇用パス取得に際して、手続きが一段階増えたかたちだが、その一方で、ラフィジ・ラムリ経済相は3月14日に、同パス取得プロセスを今後3カ月以内に簡易化・短縮化するとも述べている(3月14日「フリーマレーシア・トゥデー」)。ビザ取得手続きの煩雑さは、日本企業の間でもマレーシアの投資環境上の大きな課題とみなされていることから、分かりやすく円滑な制度への改善が期待される。

(吾郷伊都子、エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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